歌人の河野裕子さんが12日夜、乳がんのため、京都市内の自宅で亡くなりました。新鮮なことばで女性の繊細な心を詠んだみずみずしい短歌を得意とし、戦後生まれの女性歌人として新しいスタイルを確立しました。64歳でした。
熊本県出身の河野さんは、高校生のときに短歌の創作をはじめ、京都の大学に在学中、権威ある新人賞を受賞して歌壇にデビューしました。新鮮なことばで女性の繊細な心を詠んだみずみずしい短歌を得意とし、恋心を詠んだ歌集などを次々と発表して注目を集め、戦後生まれの女性歌人として新しいスタイルを確立しました。河野さんは平成12年に乳がんが見つかり、治療を続けながらNHKの短歌の番組に選者として出演したほか、2年前に乳がんの転移が見つかったあとも、宮中歌会始の選者を去年とことし務めるなど、現代女性歌人の代表として精力的に創作活動を続けていたということです。