元俳優の押尾学被告が、合成麻薬「MDMA」をいっしょに使った女性に適切な救命措置を取らずに死亡させたとして、保護責任者遺棄致死の罪などに問われた裁判員裁判で、押尾被告に懲役2年6か月の実刑判決が言い渡されました。裁判所は、女性の命を確実に救えたとは言えないとして、保護責任者遺棄致死の罪のうち、死亡させた罪については認めず、保護責任者遺棄の罪だけが認められると判断しました。
元俳優の押尾学被告(32)は去年8月、東京・六本木のマンションで、合成麻薬のMDMAをいっしょに使った飲食店従業員の田中香織さん(当時30歳)の容体が急変したのに、適切な救命措置を取らずに死亡させたとして、保護責任者遺棄致死の罪などに問われました。裁判では119番通報をしていれば、女性の命を救うことができたかどうかが最大の争点となり、検察が「90%を超える高い確率で助けることができた」と指摘して懲役6年を求刑したのに対して、弁護側は「女性の命を救える可能性は10%から40%程度しかなかった」と無罪を主張していました。17日の判決で、東京地方裁判所の山口裕之裁判長は、女性の命を確実に救えたとは言えないとして、保護責任者遺棄致死の罪のうち、死亡させた罪については認めず、保護責任者遺棄の罪だけが認められると判断し、懲役2年6か月の実刑を言い渡しました。