他人のたばこの煙を吸い込む「受動喫煙」によって、肺がんや心筋こうそくで死亡する人は、国内で年間およそ6800人に上るという推計を国立がん研究センターのグループがまとめました。
この推計は、東京で開かれた受動喫煙対策をテーマにしたシンポジウムで国立がん研究センターのグループが発表したものです。研究グループでは、国内外の論文のデータを参考に、たばこを吸わず、肺がんや心筋こうそくで死亡した人を「受動喫煙」があったかどうかで2つのグループに分け比較しました。その結果、こうした病気で死亡する危険は受動喫煙があるほうが、ない場合に比べ、1.3倍程度高まることがわかりました。これを国内の統計に当てはめて分析すると、受動喫煙の影響による死亡は、肺がんでは女性でおよそ1500人、男性でおよそ650人、心筋こうそくでは女性でおよそ3100人、男性でおよそ1600人と推計されるということです。受動喫煙による年間の死亡者は、少なくともおよそ6800人となる推計で、このうち半分余りは職場、残りが家庭での受動喫煙が原因とみられるとしています。研究をまとめた片野田耕太研究員は「健康被害を防ぐには、特に職場での全面禁煙が欠かせない。喫煙する人は、たばこの煙で死亡する人がこれだけいるということを知ってほしい」と話しています。