和歌山県太地町で、追い込み漁によって捕獲したイルカを入れていた生けすの網が、何者かによって切られていたことがわかりました。ヨーロッパを拠点とする環境保護団体が、網を切ったとする声明を発表しており、警察が器物損壊などの疑いで調べています。
和歌山県太地町の太地町漁協によりますと、28日の朝、湾に設置していた14の生けすのうち7つで、網が水深2メートルほどのところで切られているのが見つかりました。生けすには、今月始まった太地町の伝統的な漁法「追い込み漁」で捕獲し、水族館に販売される予定のイルカ30頭ほどが入れられていましたが、逃げたイルカはいなかったということです。これについてヨーロッパを拠点とする環境保護団体「ザ・ブラック・フィッシュ」が、ホームページ上で、生けすの網を切ったとする声明を発表しており、警察が器物損壊などの疑いで調べています。太地町の「追い込み漁」は、数隻の船で入り江にイルカを追い込み捕獲するもので、アメリカのドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」で批判的に描かれ、町には漁のスタートとともに海外から反捕鯨団体が訪れていました。太地町漁協は「県から正当な許可を受けて行われている漁で、網を切断することは違法な行為で、あってはならないことだ」と話しています。