12日午前、福井県と富山県、それに山形県で、クマに襲われる被害が相次ぎ、あわせて5人がけがをしました。このうち、女性看護師が襲われた福井県勝山市の高齢者施設では、今もクマが施設内にいるとみられ、捕獲の準備が進められています。
12日午前7時すぎ、福井県勝山市にある高齢者のデイケア施設「野向の舎」で、出勤した56歳の女性看護師が業務の準備をしていたところ、建物に侵入したクマに、突然、背後から襲われました。看護師は施設の外に逃げましたが、腕や顔にけがをして病院で手当てを受けています。警察によりますと、当時、施設にはほかの職員や利用者などはおらず、看護師だけだったということです。看護師を襲ったのは体長が1メートル60センチほどの大人のツキノワグマとみられ、現在も施設の中にとどまっている可能性があるということです。このため、福井県と勝山市の職員や地元の猟友会のメンバーが出て、クマを捕獲する準備を進めています。現場は勝山市郊外の山のふもとで、およそ300メートル離れたところにある小学校では、急きょ、体育の授業を体育館で行うなど、児童が外に出ないようにするとともに、下校の際は保護者に車で迎えに来るよう呼びかけています。勝山市によりますと、ことし4月から今月11日までに市内でクマが目撃されたケースは51件で、昨年度1年間の5倍以上に増えており、勝山市が住民に注意を呼びかけていました。クマが侵入したデイケア施設「野向の舎」の責任者の池端定男さんは「最近、周辺にクマが出没していたので、職員どうしで『危ないね』と話し合ったばかりだった。とにかく早くクマを施設から追い出してほしい」と話していました。また、富山県魚津市の住宅地では、男性2人が相次いでクマに襲われ、頭や顔をひっかかれて重軽傷を負いました。警察などがパトロールをして付近の住民に注意を呼びかけています。12日午前8時50分ごろ、魚津市吉島のりんご園で58歳の農家の男性が作業をしていたところ、突然、クマに頭をひっかかれて軽いけがをしました。また、およそ1時間後には、2キロほど離れた魚津市印田の貯水池付近でも、81歳の農家の男性がクマに顔をひっかかれて大けがをしました。現場は、いずれも魚津市郊外の住宅地で、警察は消防や市の担当者などとともにパトロールをしてクマを捜すとともに、付近の住民に注意を呼びかけています。富山県自然保護課によりますと、富山県ではことしに入って11日までにクマの出没が相次ぎ、去年1年間のおよそ3倍に当たる464件の目撃情報などが寄せられています。さらに、山形県飯豊町では、60代の夫婦がクマに襲われてけがをし、このうち夫が大けがをして病院で手当てを受けています。12日午前6時前、山形県飯豊町の路上で、高橋保さん(63)と妻の明子さん(61)が、突然、体長およそ1メートルのクマに襲われました。警察によりますと、保さんはかみつかれて顔に大けがをし、明子さんも左足の骨を折るけがをして病院で手当てを受けています。現場は田んぼに囲まれた町道で、飯豊町によりますと、周辺では、ことし6月から、クマの目撃情報が去年の同じ時期の倍に当たる20件寄せられているということです。警察などは、近くの小学校の児童を保護者といっしょに登校させたり、パトロールしたりしてクマへの警戒を続けています。