イギリスのキャメロン政権は、先進国の中でも最悪の水準にある財政赤字の削減を進めるため、2014年度までに日本円で10兆円規模の歳出削減に踏み切ると発表しました。
イギリスでは、昨年度、財政赤字額のGDP=国内総生産に対する比率が11%余りに上り、先進国の中でも最悪の水準になっています。こうしたなか、キャメロン政権は、2015年度までにこの比率を1%程度に一気に削減する目標を掲げ、20日、オズボーン財務相が、議会で、財政の健全化に向けた具体策を発表しました。それによりますと、日本の子ども手当に当たる給付金の受給に所得制限を設けるなど、福祉制度の見直しを進めたり、防衛費を削減するなどして、2014年度までに、こうした対策をとらなかった場合に比べて、810億ポンド(日本円でおよそ10兆円)の歳出削減を行うとしています。キャメロン政権は、すでに、日本の消費税にあたる付加価値税を、来年から2.5%引き上げて20%とすることも決めており、ギリシャの財政危機をきっかけにヨーロッパ各国が財政の立て直しに迫られるなか、歳出削減と増税の両面から財政の立て直しを進める方針です。一方で、国の予算を監視する公的な機関が、こうした歳出削減によって4年間で49万人もの公務員らが職を失うとする予測を示しており、労働組合などを中心に市民の反発も強まっています。