行业分类
タヌキの手習い
日期:2016-11-29 09:19  点击:268
 むかしむかし、ある空き寺に、源哲(げんてつ)という名前の新しい和尚(おしょう)さんがやって来ました。
 村人たちは新しい和尚さんにあいさつをしようと、畑仕事を途中で終えるとお寺にやって来ました。
「こんにちは、和尚さん。・・・?」
「はて? どこにも、おらんようじゃが」
 村人たちが和尚さんを探すと、何と源哲和尚はお堂の屋根の上でお酒を飲んでいたのです。
 これには村人たちも、すっかりあきれて、
「坊主のくせに、昼間から酒を飲んでおるとは」
「あんなやつ、相手にしとれんわい」
と、みんな帰ってしまいました。
 村人たちからは相手にされなくなった源哲和尚ですが、裏山に住む子ダヌキたちには気に入られて、
「和尚さん。 おらたちに、何か教えてくれ」
と、子ダヌキたちは人間の子どもに化けて、遊びに来たのです。
「いいとも、いいとも。それじゃあ、読み書きを教えてやろう」
 子ども好きの源哲和尚は、子ダヌキたちに喜んで勉強を教えてやりました。
「和尚さん。お月さまって、どう書くんじゃ?」
「和尚さん。おらには、山と海じゃ」
 子ダヌキたちは熱心に勉強をして、読み書きがとても上手になりました。
 すると村の子どもたちもやって来て、一緒に勉強を教えて欲しいと言いました。
「ああ、遠慮はいらんぞ。仲間は多ければ多いほど、はげみになるからのう」
 こうして子ダヌキと村の子どもたちは、一緒に勉強をする様になりました。
 ある日の事。
 村の子どもたちが近くの川でとった魚を、源哲和尚に差し出しました。
「勉強を教えてくれる、お礼だよ。酒のさかなに、してくれろ」
 その日の帰り道、子ダヌキたちは集まって相談をしました。
「人間の子が、和尚さんに勉強を教えてくれるお礼をしたぞ。おらたちも、何かお礼をせんとな」
「ああ、恩は返さんとな。しかし、おらたちは何をする?」
「うーん。そう言えば和尚さんは、雨の日に酒を買いに行くのがなんぎじゃと言うとったぞ」
「それじゃ! 雨の日は、おらたちが酒を買いに行こう」
 それから雨の日になると、子ダヌキたちは人間の子どもに化けて酒屋にお酒を買いに行き、源哲和尚に届ける様になりました。
 ところが酒屋の主人が、雨の日に子どもたちがお酒を買いに来ると、お金の中に木の葉がまじっている事に気づいたのです。
「あの子どもたちは、きっとタヌキかキツネに違いない。今日こそは、尻尾をつかんでやる!」
 そうとは知らない子ダヌキたちは、いつもの様に木の葉をお金に変えてお酒を買いに行きました。
 すると酒屋の主人が店の入り口にカギをかけて、太鼓(たいこ)を『ドン!』 とならしました。
 いきなりの太鼓にびっくりした子ダヌキたちは、尻尾を出してタヌキの姿に戻ってしまいました。
「やっぱり、お前らはタヌキじゃったんだな! このいたずらダヌキめ!」
 酒屋の主人にひどいめにあわされた子ダヌキたちは、それからは二度と人前に姿を現さなくなりました。
 この話を聞いた源哲和尚は、ぽろりと涙をこぼしました。
「あの子たちが、タヌキじゃったとはな。よく勉強の出来る子どもたちだったのに、わしの為にかわいそうな事をした」
 でも、この事で村人たちは源哲和尚のやさしい人柄(ひとがら)を知り、それからはお寺に親しく行き来する様になったそうです。
小语种学习网  |  本站导航  |  英语学习  |  网页版
09/20 20:31
首页 刷新 顶部