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「母の背中」
日期:2017-08-30 08:24  点击:356
 「お母さんみたいになりたくない」
小さい頃から、漠然とそう思っていた。
無口で、格好なんて全然気にしなくて、不器用な母。
母のことを、なんとなく苦手に感じていた。
家で自営業を営む父のかわりに、外へ働きに出ていたからかもしれない。
同じ家の中にいるのに、あまりにも関わりが少なくて、まるで他人のようだった。
 
大学入学とともに、私は家を出た。
実家に帰省することは殆ど無くなり、たまに帰っても一日中寝るか、テレビを見るか
だった。
 帰りの遅い母と会話をする機会も、必然的に減っていった。
「疲れたなぁ」「最近頭が痛いの」たまに顔を合わせると、愚痴や弱音を呟く母。
「薬でも飲んどけば」と、ついつい素っ気無く返事をしてしまう私。
こんな調子だから、私達の関係は深まることは無く、平行線のように、交わることも
ない。
21年という時をともにしてきた筈なのに、母の生きてきた軌跡についてちっとも知
らないことに気付いて、なんだかぞっとした。
 
そんな私も就職活動を迎えて、色々と将来のことを考えるようになった。
会社を選ぶ際に、無意識に気にしていたのが『出産後も働ける環境か』ということ
だった。
「ああ、私はやっぱりお母さんの子なんだ。」
ずっと母の背中を見てきた私には、そういう働き方以外思い浮かばなかったのだ。
実際に自分が育児と仕事の両立をすることを考えると、その負担の大きさが身にしみ
た。
母は、毎日そういう生活を送っていたのだ。
この間、久しぶりに家族で銭湯に行くことになった。
何年ぶりだろうか。母と久しぶりに一緒にお風呂に入った。
二人とも、手足は痩せているのにお腹だけぽっこりと出ている体型で、
「遺伝なんだね」と笑いあった。久しぶりに、母と一緒に笑った。
 
これから私は母と同じような道を歩いていくことになるだろう。
大人になって、母がどれだけ偉大な存在だったかわかるようになってきた。
「わたしは、お母さんのようになりたい。」
今では、強くそう思う。
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