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ピーター・パン
日期:2017-12-12 21:30  点击:327
 ある日の夜、とつぜんウェンディーの部屋のまどから、男の子が飛び込んできました。
「あなたは、だあれ?」
「ぼくはピーター・パン。夢の国ネバーランドから迎えに来たんだ。さあ、一緒に冒険に出かけよう」
 一緒にいた弟のジョンとマイケルも、冒険と聞いて大喜びです。
「ネバーランドって、どうやって行くの?」
「飛んで行くんだ。妖精(ようせい)のティン力ー・ベルの羽の粉をつけると、空を飛ベるんだよ」
「わあ、本当だ。すごーい!」
「ネバーランドは、二つ目の角を曲がって、あとは、どこまでもまっすぐのところさ」
 空高く飛んで行くみんなの目には、家がおもちゃの様に小さく見えます。
 いくつもの夜が過ぎ、いくつもの朝が来ました。
 とつぜん、ピーターがさけびました。
「見てごらん、あれがネバーランドだ。
 あの黒い船は、海賊船だよ。
 そしてあそこにいるのが、恐ろしいフック船長。
 むかしフックは、腕と時計をワニに飲み込まれたんだ。
 だからチクタク音を立ててワニが出て来ると、まっさおになって逃げ出すよ。アハハ」
 島では、子どもたちが待っていました。
「ピーター、お帰りなさい。・・・あれ、この人は、だあれ?」
 子どもたちがかけ寄ると、ピーターは言いました。
「ウェンディーだよ。ぼくたちのお母さんになってくれるんだ」
 ピーターの家は、地面の下にあります。
 せまいけれど、あたたかくてすてきなところです。
 たっぷり遊んで疲れると、ウェンディーお母さんがおやすみ前のお話しをしてくれます。
 昼間は、湖や森の探検です。
 でも海賊船が、いつも遠くからながめています。
 それはフック船長が、子どもたちをねらっているからです。
 
 ある日、ウェンディーが言いました。
「パパとママに会いたいな。お家に帰りたい」
「フン! 帰りたいなら、勝手にすればいい!」
 ピーターはすねて、どこかへ飛んで行ってしまいました。
「ウェンディー、行っちゃ、いやだ!」
 子どもたちが、泣き出しました。
 その時、突然フック船長が現れたのです。
「フフフフフフッ。ピーターはおらんな。よし、野郎ども、子どもたちをつかまえろ!」
 子どもたちは、次々に捕まってしまいました。
「大変よ、ピーター。みんなが捕まったわ」
 ティンカー・ベルが、大あわてで知らせました。
「よし。ワニになって、フックをおどかしてやる」
 ♪チクタク、チクタク。
 ピーターは時計の音を立てながら海に飛び込み、泳ぎ出しました。
「フフフフフフッ。もうすぐ、お前たちは海の底だ」
 後ろ手にしばられた子どもたちを見て、フック船長はごきげんです。
と、そこにふしぎな音が。
 チクタク、チクタク・・・・・・。
「ワ、ワッ、・・・ワニだあー!」
 フック船長は、あわてて隠れました。
 子どもたちが、こわごわ海をのぞいてみると。
「あっ!」
 船にあがってきたのは、ワニではなくてピーターでした。
 ピーターは、子どもたちを次々に助け出しました。
 もちろん、大切なウェンディーも。
「うぬぬ、ワニかと思えば、お前だったか」
 怒ったフック船長がピーターに飛びかかり、船の上ですさまじいたたかいが始まりました。
 身の軽いピ一ターが、短剣をビュン!
 それをよけたフック船長が、バランスをくずして。
「うわああー!」
 フック船長は海で大口を開けていたワニに、パクリと食べられてしまいました。
 これで海賊船は、ピーターのものです。
 ティンカー・ベルが妖精の粉をかけると、海賊船はフワリと空に浮かびました。
 いくつもの夜が過ぎ、いくつもの朝をむかえ、船はウェンディーたちの家へと進みました。
 そしてようやく家へ着くと、ウェンディーたちはまどから子ども部屋に飛び込んで、待っていたお母さんに飛びつきました。
「だまって出て行って、ごめんなさい。あたしね、ピーターと冒険に出ていたの」
 後ろをふりかえると、ピーターと海賊船は元来た道を帰るところでした。
 飛んでいくピーターを見送りながら、ウェンディーたちは少し悲しくなりました。
 そんなウェンディーたちに、ピーターは明るく手をふると、
「冒険をしたいときは、いつでも呼んで。すぐに迎えに行くから。では、また会おう」
 ピーター・パンは、今もネバーランドに住んでいます。
 いつの日か、あなたの部屋にも飛んで来るかもしれませんよ。
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