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クマとおばあさんとシャオホン
日期:2017-12-25 17:31  点击:360
 むかしむかし、シャオホンというかしこい女の子が、おばあさんと二人で住んでいました。
 
 ある年の春、おばあさんは畑にダイコンのタネをまきました。
「どっさりダイコンをつくって、どっさりシャオホンに食べてもらおう」
 おばあさんはまがった腰をたたきながら、毎日毎日畑の草をとり、水をやってこやしをふりかけました。
?はやくなれなれ、でっかいダイコン。
?うんとなれなれ、でっかいダイコン。
 
 やがて、秋になりました。
 でも、ダイコンはたったの三本しか出来ませんでした。
 おばあさんが、シャオホンに言いました。
「ガッカリしても、しかたがないね。
 ほそいダイコンは、わたしが食べて、中くらいのはとなりのおばあさんにあげよう。
 そして太いダイコンは、シャオホンにあげようね」
 おばあさんが川で三本のダイコンを洗っていると、山からクマがおりてきました。
「おい、ばあさん! そのダイコンをよこせ! よこさないと、お前の大切なシャオホンを食べてしまうぞ!」
「ひぇー! はっ、はい、どうぞ」
 おばあさんは、自分の細いダイコンをクマにあげました。
 するとクマは、そのダイコンを一口で食べました。
「うまいダイコンだ。だけど、まだ腹がへってる。もう一本よこせ」
 おばあさんは、中くらいのダイコンもあげました。
 クマは、そのダイコンを二口で食べました。
「まだ、腹がへってるぞ。それもよこせ」
 するとおばあさんは、太いダイコンをしっかりとかかえて言いました。
「このダイコンは、シャオホンの物。ぜったいに、やれん」
「なんだと!」
 するとその時、むこうから物売りたちがやって来ました。
「ちぇっ! じゃまが入ったな。それでは今夜、シャオホンを食いに行くからな」
 クマはそう言うと、山へ帰りました。
「ああ、どうしたらいいんだろう」
 おばあさんがダイコンをかかえて泣いていると、針売りが来ました。
 続いて、ばくちく売りと、油売りと、エビ売りと、石うすをかついだ男もやって来ました。
「おばあさん。なにを泣いているんだい?」
「じつは???」
 おばあさんは今までの事をみんなに話すと、また泣き出しました。
 針売りと、ばくちく売りと、油売りと、エビ売りと、石うすをかついだ男は、みんなでおばあさんをなぐさめました。
 そして針売りが針を、ばくちく売りがばくちくを、油売りが油を、エビ売りがエビを、石うすをかついだ男が石うすを、それぞれおばあさんに渡しました。
「これで、なまいきなクマをやっつけてしまえ!」
「でもなあ、こんな物もらっても???」
 おばあさんは家に帰ると、針と、エビと、油と、ばくちくと、石うすを置いて、また泣き出しました。
「おばあさん、どうしたの? なぜ泣いているの?」
「実はね、シャオホン」
 おばあさんから話しを聞いたシャオホンは、しばらく考えると元気良く言いました。
「大丈夫よ。おばあさん。わたしにいい考えがあるわ」
 
 夜になりました。
 すると山からクマがおりてきて、シャオホンの家の前でどなりました。
「おい。開けろ!」
 シャオホンとおばあさんは、ベッドの下にかくれてだまっています。
「おい。開けろったら、開けろ!」
 クマは、ドン! と、戸をたたきました。
 そのとたん、クマは、
「うわっ。いててて!」
と、飛び上がりました。
 クマの手には、針が何本もつきささっています。
 かしこいシャオホンが、針を戸にさしておいたのです。
「こしゃくなまねを!」
 カンカンに怒ったクマは、戸をぶちやぶって中に飛び込みました。
「シャオホン! どこだ!?」
 クマは、台所をのぞきました。
 かまどには、ナベがかかっています。
 クマがナベのふたを取ると中からエビが飛び出てきて、手のハサミでクマの鼻をはさみました。
「うわっ。いたたた! こいつめ。はなせえー!」
 エビはクマの鼻にぶらさがって、なかなかはなれません。
 クマは何とかエビをはなすと、ナベの中にたたきつけました。
「エビめ。ナベでにて、食ってやる!」
 クマはまっ赤にはれあがった鼻をさすりながら、かまどに火をつけました。
 すると、かまどの中にはばくちくが置いてあったので、
 パパーン!
と、ばくちくが、クマの目玉に飛び込みました。
「どひゃー!」
 目が見えなくなったクマは、おおあわてです。
「なにも見えん! なにも見えんぞ!」
 クマはよろけて、すてんと転んでしまいました。
 その転び方があまりにも見事だったので、シャオホンは思わず『プッ』と吹き出してしまいました。
「だれだ! いま笑ったのは! ははあーん、さてはシャオホンだな」
 クマはシャオホンのいる方へ、ノッシノッシと近づいてきます。
「ああ、クマが来るよ。シャオホン、どうしよう?」
 おばあさんがふるえる声で言うと、シャオホンは手をポンポンとたたきながら飛び出しました。
「クマさん、こっち。手のなる方ヘ」 
「こいつめ。おれをバカにしやがって! いますぐ食ってやるぞ!」
 クマは音をたよりに、シャオホンに飛びかかろうとしました。
 するとツルリンと足がすべって、クマは床にひっくりかえりました。
 かしこいシャオホンが、床に油をこぼしておいたのです。
 クマはあおむけにひっくりかえったまま、ツルツルとすべっていきます。
「とっ、とまれー!」
 クマは手足をばたばたさせましたが、油ですべって起き上がることもできません。
 そしてそのまますべって、柱にぶつかりました。
 すると柱の上に置いてあった石うすが落ちてきて、
 ドシーン!
と、クマはおせんべいのように押しつぶしてしまいました。
「やったわ! クマをやっつけたわ!」
 こうして見事にクマをやっつけたシャオホンは、そのクマを町の肉屋さんに売って、売ったお金で食べきれないほどのダイコンを買ったのでした。
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