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美女と野獣
日期:2017-12-26 18:58  点击:418
 むかしむかし、あるところに、商人が三人の娘と暮らしていました。
 三人のうちでも末娘のベルは、とても美しく心が優しいので評判です。
 
 ある時、お父さんが仕事で近くの町ヘ出かける事になると、一番上の姉さんが言いました。
「お月さまの色をした服を、買ってきて」
 すると、二番目の姉さんも、
「お日さまの色をした服を、買ってきて」
と、ねだりました。
 でもベルは何も言わないので、かわいそうに思ったお父さんが何度も聞くと、
「???バラの花が、一本ほしいわ」
と、答えました。
 仕事を終えたお父さんは、姉さんたちの服を買いました。
 でもバラの花は、どこにもありません。
 おまけに帰る途中、道に迷ってしまったのです。
 困っていると、遠くに明かりが見えました。
 近づいてみると、とても立派なお城です。
 けれどいくらよんでも、お城からは誰も出て来ません。
 ふと見ると、庭にきれいなバラの花が咲いています。
「見事なバラだ。これをベルのおみやげにしよう」 
 お父さんはベルのために、赤いバラをひとえだ折りました。
「何をする!」 
 そのとたん、目の前におそろしい野獣(やじゅう)の顔をした男が現れました。
「大事なバラをぬすんだな、ゆるさんぞ! いいか、お前の娘を一人ここへ連れて来い。さもないと、命はないと思え!」
と、言って、野獣の男はパッと姿を消しました。
 お父さんはふるえながら道を探して、やっとの事で家にたどりつきました。
 お父さんが真っ青な顔で野獣の話しをすると、ベルは言いました。
「お父さん、ごめんなさい。わたしがバラをねだったせいです。野獣のところへは、わたしがまいります」
「しかし???」
「いいえ、わたしがまいります」 
 ベルがいいはるので、お父さんはなくなくベルをお城へ連れて行きました。
 するとたちまち、野獣が出てきて、
「この娘は、あずかっておく。お前は帰れ!」
と、お父さんを追い返しました。
 ベルはこわくてこわくて、ブルブルとふるえていました。
 でも野獣はやさしい声で、ベルに言いました。
「こわがらなくても、いいよ。
 この城は、あなたの城。
 食べ物も着る物も、欲しい物はみんな一人でに出てくる。
 どうぞ、楽しくお暮らしなさい」
 野獣は時々、食事をしに来るだけでした。
 でも見かけと違って、いつもやさしい野獣にベルはうれしくなりました。
 
 ある日、野獣は遠くの物を見る事が出来る、不思議な鏡をベルにくれました。
 ベルがその鏡で自分の家の様子を見てみますと、何と病気で寝ているお父さんの姿がうつっていたのです。
 お父さんはベルの事が心配で、病気になってしまったのでした。 
「お願い、お父さんのおみまいに行かせてください」
「いいよ。???でも、必ず帰って来ておくれ」
 
 ベルが家に帰ると、お父さんは大喜びで、すぐに病気が治ってしまいました。
 けれど姉さんたちに引き止められて、ベルはなかなかお城へ戻れません。
 そんなある晩、今にも死にそうな野獣の夢を見ました。
「大変だわ。はやく帰らなければ」
 むちゅうで道を走り、やっとお城ヘついた時、野獣はグッタリしてもう口もきけません。
「ごめんなさい、ごめんなさい。わたしが帰らなかったせいなのね。本当にごめんなさい」
 ベルは涙を、ポロポロとこぼしました。
 そしてその涙が野獣の顔に落ちたとたん、野獣は立派な王子さまに変わったのです。
「ありがとう、ベル。
 おかげで、魔法がとけました。
 やさしい人がぼくのために泣いてくれなければ、魔法はとけなかったのです。
 ???ベル、どうかぼくと結婚してください」
「はい」 
 やがて二人は結婚して、幸せに暮らしました。
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