研究成果は2日付の英科学誌ネイチャー・アストロノミー電子版に掲載された。
宇宙線は、ほぼ光速で飛ぶ高エネルギーの陽子や電子。約100年前に発見されたが、どのような天体から来るかや、加速の仕組みは詳しく分かっていない。
地球から約7500光年離れたエータ星は、太陽の約90倍と約30倍の質量を持つ二つの巨大な星が、互いの周りを5.5年の周期で公転する連星。付近から高エネルギー粒子の存在を示唆するガンマ線が検出されていたが、エータ星からと特定できていなかった。
広島大の高橋弘充助教とNASAゴダード宇宙飛行センターの浜口健二研究員らは、米X線天文衛星ニュースターによる高精度観測で、エネルギーの高い硬X線がエータ星から来ていることを突き止めた。公転周期に合わせX線強度が変動することも分かった。
X線の変化が公転周期と一致したことから、研究チームは、連星間の相互作用が宇宙線加速に関連していると推定。二つの星から放出される陽子などの粒子が衝突し、その衝撃波で加速されて宇宙線になると結論付けた。