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寝台急行銀河の殺意1-4
日期:2019-04-26 22:53  点击:214
 『京都東急ホテル』は、自動ドアを入ると下りのエスカレーターがあり、地下一階がフロントだった。
 ロビーを挟《はさ》んで、フロントの反対側が人工池になっている。
 いったん七階のツインルームに案内された谷田と郁恵は、一息入れてからエレベーターでロビーフロアーに下りた。
 久し振りの旅なので、明日は観光タクシーを奮発することにした。その打ち合わせのため、ベルボーイに会った。
 行く先の希望が特にないことを告げると、
「例年ほどでないとはいえ、高尾《たかお》の紅葉ならご満足いただけると思います。嵯峨野《さがの》の散策もよろしいでしょう」
 ベルボーイは、洛西《らくせい》を勧めた。
「そうですわね。細かい点は、タクシーに乗ってから、運転手さんに相談してみますわ」
 郁恵がうなずいた。
 ボーイはその場で、タクシーの手配をしてくれた。
 小型車なので、八時間乗って二万三千円。タクシーは翌朝八時に、ホテルへ迎えにきてくれることになった。
 そうした手配を終えて、ベルボーイのコーナーを離れようとすると、いつの間にか、背後に女が立っていた。
 それが、タクシー乗り場で、前後の見境もなく列に割り込もうとした、あの女だ。
「あら?」
 女のほうでも、谷田夫婦に気付いた。
 彼女も、ここのホテルに、予約をとってあったのか。
「先ほどは、大変失礼いたしました」
 女は一礼し、きまりが悪そうな顔をした。
 そして女は、谷田夫婦と入れ代わって、ベルボーイの前に立った。彼女の目的も、観光タクシーの相談だった。
 谷田と郁恵は、噴水のある池を一回りして、同じフロアーのティーラウンジに寄った。
 やがて、髪の長い女の、すらりとした後ろ姿が、エスカレーターを上がって行くのが見えた。
「あの人、これから市内観光をするのかしら」
「だれかとデートの約束でもあって、あんなに慌てていたのかな」
 ティーラウンジの谷田と郁恵は、女の後ろ姿に目を向けて、そんなことを話し合った。
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