遠野物語51
日期:2019-08-25 10:29 点击:380
五一 山にはさまざまの鳥住めど、最も寂しき声の鳥はオツト鳥なり。夏の夜中に啼く。浜の大《おほ》槌《づち》より駄《だ》賃《ちん》附《づけ》の者など峠を越え来れば、はるかに谷底にてその声を聞くといへり。昔ある長者の娘あり。またある長者の男の子と親しみ、山に行きて遊びしに、男見えずなりたり。夕暮れになり夜になるまで探しあるきしが、これを見つくることを得ずして、つひにこの鳥になりたりといふ。オツトーン、オツトーンといふは夫《をつと》のことなり。末の方かすれてあはれなる鳴き声なり。


