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糸井重里の萬流コピー塾105
日期:2019-11-08 19:55  点击:340
 萬心は奥深いんだよ

・安宅士郎『「こんなうまいもの食ったことがない」と、兄貴の言葉が、一層家庭の雰囲気を重くした』(梅)
・黒木悟『揚げたてで顔をひっかけば凶器としても使えます』(梅)
・小林茂樹『彼ったらね、いきなり熱いものをあたしの口の中に入れてくるの』(梅)
・大庭範子『裏庭から掘り出した古い壼の中には、先祖が作ったらしいコロッケがぎっしりと入っていました』(梅)
・小林牧朗『ゴザを敷いてるあの方に、歳の暮れのお供えもの』(梅) と、ここいらの五作あたりは、かなりのすれっからしの作。
|萬心《まんごころ》の何たるかを知りつつある塾生ではあろうが、これもこのあたりで満足していてはいけない。
こういうのまで書けるようにならなくちゃね。
・伊岐見一敏『落しても、食える』(松)
ねっ、|手練《てだれ》にない、強烈な素直さが、心に波紋をひろげるでしょう。コロッケという商品が、バーンと「立つ」のである、こういういいコピーによって。
では、再びふつうに良い作品。
・岩田隆幸『ハシで穴をあければ、もうキミのもの』(梅)
・奥村修『フタを開けたらごはんの上で脱皮していた』(梅) これは、上に「べんとうの」と、入れたほうがよさそうだ。
・門田陽『何考えてんの、かあちゃんがもらうよ』(梅) もうちょっとで(竹)をやるところだった。門田君も、好調だ。
・岡田真『このあみの上に並んでいるやつじゃなくて、次にあげるやつ下さい』(梅)
・中本恒子『珍味! 山口梅太郎作』(竹) これ、どっかの肉屋さん、実際に貼り紙に大書するといいですよ。
・平井伸郎『肉屋から八百屋への挑戦状』(梅) これは大書したりするとカドがたつ。
・竹中博幸『新妻の、2ケ買う事のほこらしさ』(梅) 新妻ネタは多かった。これについては、わざと「4ケ」にしてヒッカカリをつくったほうが印象は強くなるよ。
・平田昌子『相互保温のため、ふところに入れてお持ち帰り下さい』(梅) このテーマも多かったが、「相互保温」のひと言が効いている。
・吉賀光彦『ブルドックもイカリも、ワシがオシメをかえてやった』(梅) なるほど。
・加野典子『二枚焼きトースターはコロッケを焼くことで、からくもその命脈を保っている』(梅) 加野君、ごぶさた!
・清水美紀子『私は、コロッケを縦でも、横でも、一口で食べられます。もってくれば、見せて差し上げます』(毒) そんなとんでもないことをしてくれなくてもよい。
・早瀬民子『味の決め手は新聞紙』(梅) 同巧あり。
・伊藤和彦『ただならいくらでも食ってやる!』(梅) そうか。
・山崎恵子『ソォーッと布巾をめくると、洋皿は牧場だった。コロッケが二頭、のんびりキャベツをはんでいる』(梅)
では、おしまいは、家元のいちばん笑ったやつ。
・平岡清美『こんばんは、俵型コロッケです』(竹)
もうひとつだけ強迫されて。
・万城目政枝『一つ おまけ』(梅)
では、惜しかった人のリスト。
小田淳一、斉藤泰徳、柿沼徳治、前田治行、川村敬一、角野敦、井上信治、秋田良夫、長塚隆、小川克子、森素雄、渡辺康二、小谷秀穂、柴田正子、那須英憲、和田学、中島従道、森山浩二、山本信三郎、赤木成維子、宮林光三、山口公子、松崎直太、宇治川たか子、柴田喜久、石井良枝、伊藤秋彦、岡村宏史、渡辺匡、山富史朗
以上の諸君にはすべて(梅)をやることにした。追って番頭から通知があることであろう。待ってなさい。
ついでに、漫画家いしかわじゅん氏のハガキから。
『尻尾まで、芋』
うむ……。(梅)を進呈する。「うちのコロッケは」とつけたほうが、よかったみたい。
今週の宿題
いつも人気の薄い商品の応援ばかりしているが、今回はちょっとちがうぞ。
えーい、聞いておどろくなよ、「パンダ」だ。
そうだ、あの「人寄せパンダ」という言葉のもとになった、パンダである。上野の動物園にパンダを見にいらっしやいな、というテーマでコピーを書いてくれ。どうだ、書き易いだろう。
「パー券買ってくれよ、なんてのはいかがでございましょう」
それだったら『パン券あります』くらいのほうが地味だけどいいかもしれないね。それにしても、もう少し考えたまえ。
では、家元は帰るぞ。
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