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海嶺89
日期:2020-02-28 13:17  点击:409
 再び重右衛門日記

八月十日
夜に至りて、久吉言う。小野浦の海に、時折火の玉飛びたり。されどこの大海にては見しことなし。如何《いか》なる故《ゆえ》にやと。音吉も故里を思いて言う。夏ともなれば、浜に櫓《やぐら》を立て提灯《ちようちん》を数多吊《あまたつ》るしたるなり。この灯《あか》りを慕いて蟹《かに》寄りきたり、女も子供も手桶《ておけ》に拾いたりしと。
目をつむれば、故里《くに》の山、家、人など、まざまざと目に浮かぶに、ああ再び見《まみ》ゆる日のありやなしや。
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