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海底魔术师-洞穴里的古怪(2)
日期:2021-09-08 23:53  点击:312

 逃げだすことは、むろんできません。そばに、悪ものの水夫が、がんばっているし、それに、からだが、くたくたにつかれてしまって、もう、なにをする元気もないのです。賢吉君は、タルのそばへうずくまって、ただ、ぼんやりと、あたりをながめるばかりでした。
 そのときです。ふかいトンネルのようになった、ほら穴のむこうから、ちらっとへんなものが見えました。うす暗いほら穴の中ですから、はっきりはわかりませんが、なんだか、ギョッとするよな、おそろしいものでした。
 びっくりして、その方を見つめていますと、そのへんなものの姿が、岩かどから、ヌーッと、あらわれてきました。賢吉君は、あっとさけんで、おもわず逃げだそうとしました。すると、水夫が、おそろしい力で賢吉君のかたをおさえて、そこへすわらせてしまいました。
「ウフフフ、きみをとってくうわけじゃない。じっとしてればいいんだ。あれらは、いそぎの用事があって、これから出かけるんだからね。」
 そのものが、もう全身をあらわして、こっちへ近づいてきます。それは、あのおそろしい鉄の人魚でした。人間とおなじぐらいの大きさの、鉄のウロコの怪物、頭から、背中にかけて、鉄のトサカのような、するどいギザギザがあり、目は青く光って、口は耳までさけ、そこから二本の牙が、ニューッとのぞいています。
 その怪物が、鉄の手で、岩の上を、はってくるのです。ワニのような長いしっぽがついていますが、そのしっぽの下に、みじかい足のようなものがあり、二本の手と、その足とで、自由に、はいまわるのです。
 賢吉君は、岩壁に、ピッタリ身をつけて、おびえきって怪物を見ていましたが、怪物のほうでは、賢吉君など、見むきもせず、そのまえをとおって、ほら穴の外へ出ていってしまいました。
 すると、またほら穴のおくに、なにか物の動くけはいがしました。はっとして、その方を見ますと、さっき出ていったのと、まったくおなじ鉄の人魚が、もう一ぴき、のっそりと、そこから出てきたではありませんか。
 いや、一ぴきではありません。つぎからつぎと、おなじ怪物が、まるでアマゾン川のワニの行列のように、ぞろぞろと出てくるのです。賢吉君は、あまりのことに気がとおくなって、それをかぞえることもできませんでした。ほんとうは、八ぴきの鉄の人魚が、賢吉君の前をとおって、ほら穴の外へ出ていったのです。
 まるで、おそろしいゆめを見ているようでした。鉄の人魚は一ぴきだとおもっていたのに、こんなにたくさん、ほら穴の中に、かくれていたのです。そして、ぞろぞろと、どこかへ出ていったのです。
 いったい、なにごとがおこるのでしょう。
 あの怪物どもは、もしや、ハヤブサ丸の金塊ひきあげ作業を、じゃましに、出かけたのではないでしょうか。あんなたくさんの怪物が、海の中で、あばれまわったら、いったい、どんなことになるのでしょう。
 賢吉君はもう、ものを考える力もなくなって、ぼんやりしていますと、水夫がかたをつついて、
「さあ、おくへいくんだ。首領が、お待ちかねだ。」
 と、みょうなことをいいました。「首領」とは、いったい、何者でしょう。
 賢吉君は、そのまま、水夫につれられて、ゴツゴツした岩の上を、ほら穴のおくへ、あるいていきました。

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