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海底魔术师-怪兽的秘密(2)
日期:2021-09-10 07:05  点击:377

 鉄の人魚の中から、まっさきにとび出した、ひとりの若ものが、どなりつけました。なるほど部下ではありません。八人が八人とも、まったく見しらぬ人間ばかりです。それを見ると、ふくめんの首領は、あっと立ちすくんで、口をきく力もなくなってしまいました。
「アハハハ……、びっくりしているな。鉄の人魚なんて、おもちゃみたいなもんだ。鉄板でこんな形をつくって、中に酸素のボンベが三本もとりつけてある。だから、長いあいだ水中にいても、へいきなんだ。その中へ、きみの部下がはいって、われわれを、おどかしていたんだ。目がリンのように光るのは、乾電池で青い豆電灯がついているんだ。
 明智先生が、ちゃんと、それを見ぬいてしまった。そして、おれたち、はだかの勇士を海のそこへ、おくってよこしたんだ。おれたちはボンベをしょって、海のそこの洞窟の入口から、しのびこんだ。そして、水中銃で八人のきみの部下をおどかし、人魚の鉄の皮をぬがせて、おれたちがいれかわったんだ。きみの八人の部下は、手足をしばり、さるぐつわをはめて、むこうのほうの岩あなに、ころがしてあるよ。ワハハハハ……、どうだ、おどろいたか。」
 ふくめんの首領は、こんなひどいめにあったことは、いままでに一度もありません。おそろしい敗北です。しかし、ぐずぐずしている場合ではありません。八人のはだかの勇士が、いまにも、こちらへ、とびかかってきそうに見えるからです。
「ジャック、ついてこい。」
 首領は、そうさけぶと、パッと身をひるがえして、矢のように走りだしました。しかしこんどは、いったい、どこへ逃げようというのでしょう。
 かれは黒いマントをひるがえして、海のそこへの、出口のほうへ走りました。ジャックもそのあとからつづきます。
 しばらく走ると、パッと、目のまえが、ひろくなりました。そこには、海底からはいってきた水が、池のようになっているのです。ひろい洞窟の中の池です。海底からの入口は、水面のずっと下にあるのですが、洞窟がななめに上のほうへつづいているので、そのへんは、もう水面の上にあり、海水は池のように、洞窟のそこにたたえられているのです。
 その池の岸に、小さいクジラほどもある、まっくろなものが、浮いていました。賊の魚形潜航艇です。その背中に、すきとおったコブのようなものがあります。それはプラスチックのガラスでできた展望まどです。また、それはちょうつがいで上にひらくようになっていて、艇への出入り口もかねています。
 ふくめんの首領は、ジャックをひきつれて、その岸へ走っていきました。
「さあ、これにのるんだ。そして、海のそこへ逃げだすんだ。」
 そういって、水岸においてあった長い板を、魚形艇の背中にわたし、その上を歩いて、ガラスの展望まどのところへ行って、それをひらくと、いきなり、艇内へすべりこんでいきました。
「ジャック、おまえもはいれ。そして、これを運転するんだ。」
 首領によばれて、ジャックも板をわたり、艇内にすべりこんだのです。そして、展望まどを、しっかりしめ、運転席についたかとおもうと、とんきょうな声をたてました。
「あ、首領、たいへんだ。機械がメチャメチャにこわれています。」
「えっ、機械が?」
 首領もそこへとんできて機械をしらべましたが、何者かが、かなづちで、たたきこわしたらしく、とても、きゅうに修繕することはできません。
「しかたがない。さいごの逃げ場所だ。」
 首領が、したうちをして、どなりました。
「えっ、さいごの逃げ場所とは?」
「このむこうに、おれだけが知っている洞窟の枝道がある。そこへ、逃げこむんだ。」
 ふたりは、いそいで展望まどをひらき、もとの岩ぎしにもどりました。
 そして、洞窟のうしろのほうを見ると、八人のはだかの勇士と警官たちが、懐中電灯をてらして、こちらへ、いそいでくるようすです。
「さあ、はやく、こっちだ。」
 首領はジャックに声をかけて、かけだしました。そして、かどを一つまがると、岩のくぼみに立ちどまりました。そして、そこの岩のさけめに手をかけると、力まかせにひっぱって、はば約六十センチほどの岩をうごかしました。すると、そのうしろに人ひとり、やっと通れるほどの穴がひらいていたのです。
「はやく、ここへはいれ。そして、岩をもとのとおりにしておくんだ。そうすれば、だれも気がつきやしない。おれたちはたすかるのだ。」
 ふたりは、その穴の中にはいり苦心をして、岩をもとの場所にもどして、ふたをしてしまいました。

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