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少年侦探团-黑魔(2)
日期:2021-09-17 23:58  点击:349
 大学生は、だんだんきみが悪くなってきました。影だけが死んでしまって動かないなんて、考えてみればおそろしいことです。もしや自分は気でもちがったのではあるまいかと、もうじっとしていられなくなって、大学生は、いきなり歩きはじめたといいます。
 すると、ああ、どうしたというのでしょう、影はやっぱり動かないのです。大学生が、そこから三メートル、五メートルとはなれていっても、影だけは少しも動かず、もとの地面に、よこたわっているのです。
 大学生は、あまりのぶきみさに、立ちすくんでしまいました。そして、いくら見まいとしても、きみが悪ければ悪いほど、かえってその影を、じっと見つめないではいられませんでした。
 ところが、そうして見つめているうちに、もっとおそろしいことがおこったのです。その影の顔のまんなかが、とつぜん、パックリとわれたように白くなって、つまり影が口をひらいて、白い歯をみせたのですが、そして、例のケラケラという笑い声が聞こえてきたのです。
 みなさん、自分の影が歯をむきだして笑ったところを想像してごらんなさい。世の中にこんなきみの悪いことがあるでしょうか。
 さすがの大学生も、アッとさけんで、あとをも見ずに逃げだしたということです。
 それがやっぱり、例の黒い魔物だったのです。あとで考えてみますと、大学生は月に向かっていたのですから、影はうしろにあるはずなのを、目の前に、黒々と人の姿がよこたわっていたものですから、つい、わが影と思いあやまってしまったのでした。
 そういうふうにして、黒い魔物のうわさは、日一日と高くなっていきました。
 やみの中からとびだしてきて、通行人の首をしめようとしたとか、夜、子どもがひとりで歩いていると、まるで黒いふろしきのように子どもをつつんで、地面をコロコロころがっていってしまうとか、種々さまざまのうわさが伝えられ、怪談は怪談をうんで、若い娘さんや、小さい子どもなどは、もうおびえあがってしまって、けっして夜は外出しないほどになってきました。
 この魔物は、むかしの童話にある、かくれみのを持っているのと同じことでした。かくれみのというのは、一度そのみのを身につけますと、人の姿がかき消すように見えなくなって、人中で何をしようと思うがまま、どんな悪いことをしても、とらえられる気づかいがないという、ちょうほうな魔法なのですが、黒い魔物は、それと同じように、やみのなかにとけこんで、人目をくらますことができるのでした。
 インド人や南洋の土人の黒さは、ほんとうの黒さではありません。その魔物のからだは、どんな濃い墨よりも、もっと黒く、黒さが絶頂にたっして、ついに人の目にも見えぬほどになっているのにちがいありません。
 黒い魔物は、やみの中や、黒い背景の前では、忍術使いも同様です。どんないたずらも思うがままです。もしそいつが、何かおそろしい悪事をたくらんだならどうでしょう。悪いことをしておいて、とらえられそうになったら、いきなり、やみの中へとけこんで、姿を消してしまえばいいのですから、こんなやさしいことはありません。また、とらえるほうにしてみれば、こんなこまった相手はないのです。
 黒い魔物とは、はたして何者でしょうか。男でしょうか、女でしょうか、おとなでしょうか、子どもでしょうか。そしてまた、このえたいのしれぬ黒い影法師は、いったい何をしようというのでしょう。ただ黒板塀からとびだしたり、黒い水の中を泳いだり、人の影になって地面によこたわったりする、むじゃきないたずらをして喜んでいるだけでしょうか。いやいや、そうではありますまい。きゃつは、何かしら、とほうもない悪事をたくらんでいるのにちがいありません。いったいぜんたい、どのような悪事をはたらこうというのでしょうか。
 この悪魔を向こうにまわしてたたかうものは、小林(こばやし)少年を団長とする少年探偵団です。十人の勇敢(ゆうかん)な小学生によって組織せられた少年探偵団、団長は明智(あけち)探偵の名助手として知られた小林芳雄(よしお)少年、その小林少年の先生は、いうまでもなく大探偵明智小五郎(こごろう)です。
 日本一の私立名探偵と、その配下の少年探偵団、相手は、お化けのような変幻自在の黒怪物、ああ、このたたかいが、どのようにたたかわれることでしょう。
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