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少年侦探团-追踪怪物(3)
日期:2021-09-17 23:58  点击:324
 怪物は、石碑と石碑のあいだのせまい通路を、右にまがり左にまがり、まるで案内を知ったわが家のように、グングンと中へはいっていきます。黒い影が白い石碑を背景にして、いっそうクッキリとうきあがって見えるのです。
 桂君は、全身にビッショリ冷や汗をかきながら、がまん強くそのあとを追いました。さいわい、こちらは背が低いものですから、石碑の陰に身をかくして、チョコチョコと走り、ときどき背のびをして、相手を見うしなわないようにすればよいのでした。
 ところで、桂君が、そうして、何度めかに背のびをしたときでした。びっくりしたことには、思いもよらぬ間近に、石碑を二つほどへだてたすぐ向こうに、黒いやつが、ヌッと立っていたではありませんか。しかも、真正面にこちらを向いているのです。まっ黒な顔の中に、白い目と白い歯とが見えるからには、こちらを向いているのにちがいありません。
 怪物はさいぜんから、ちゃんと尾行を気づいていたのです。そして、わざとこんなさびしい墓地の中へ、おびきよせて、いよいよたたかいをいどもうとするのかもしれません。
 桂少年は、まるでネコの前のネズミのように、からだがすくんでしまって、目をそらすこともできず、そのまっ黒な影法師みたいなやつと、じっと、顔を見あわせていました。胸の中では、心臓がやぶれそうに鼓動(こどう)しています。
 今にも、今にも、とびかかってくるかと、観念をしていますと、とつぜん、怪物の白い歯がグーッと左右にひろがって、それがガクンと上下にわかれ、ケラケラケラ……と、怪鳥のような声で笑いだしました。
 桂君は何が何だか、もうむがむちゅうでした。おそろしい夢をみて、夢と知りながら、どうしても、目がさませないときと同じ気持で、「助けてくれー。」とさけぼうにも、まるでおしになったように、声が出ないのです。
 ところが、怪物のほうでは、べつにとびかかってくるでもなく、いやな笑い声をたてたまま、フイと石碑のかげに、身をかくしてしまいました。
 かくれておいて、またバアとあらわれるのではないかと、立ちすくんだまま、息を殺していても、いつまで待っても、ふたたびあらわれるようすがありません。といって、その石碑の向こうから立ちさったけはいもないのです。もしその場を動けば、石碑と石碑のあいだに、チロチロと黒い影が見えなければなりません。
 深い海の底のように静まりかえった墓地に、たったひとり、とりのこされた感じです。どちらを向いても動くものとてはなく、つめたい石ばかり、桂君は、夢に夢みるここちでした。
 やっと気をとりなおして、さいぜんまで怪物が立っていた石碑の向こうへ、オズオズと近よってみますと、そこはもうからっぽになって、人のけはいなどありません。念のために、そのへんをくまなく歩きまわってみても、どこにも黒い人の姿はないのです。
 たとえ地面をはっていったとしても、その場所を動けば、こちらの目にうつらぬはずはないのに、それが少しも見えなかったというのは、ふしぎでしかたがありません。あの怪物は西洋の悪魔が、パッと煙をだして、姿を消してしまうように、空中に消えうせたとしか考えられません。
「あいつは、やっぱりお化けだったのかしら。」
 ふと、そう思うと、桂君は、がまんにがまんをしていた恐怖心が、腹の底からこみあげてきて、何かえたいのしれぬことをわめきながら、むがむちゅうで墓地をとびだすと、息もたえだえに、明るい町のほうへかけだしました。
 桂少年は、怪物は墓地の中で、煙のように消えてしまったということを、のちのちまでもかたく信じていました。
 しかし、そんなことがあるものでしょうか。もし黒い魔物が人間だとすれば、空気の中へとけこんでしまうなんて、まったく考えられないことではありませんか。
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