行业分类
少年侦探团-诱拐犯(2)
日期:2021-09-17 23:58  点击:319
 その行列のいちばんうしろから、白と赤とのだんだら染めのダブダブの道化服を着て、先に鈴のついたとんがり帽子をかぶり、顔には西洋人みたいな道化のお面をつけた男が、フラフラとついてきましたが、篠崎家の門前の女の子を見ますと、おどけたちょうしで、手まねきをしてみせました。
 女の子は快活な性質とみえて、まねかれるままに、にこにこしながら、道化服の男のそばへかけよりました。
 すると、道化服は、
「これあげましょう。」
といいながら、手に持っていた美しいあめん棒を、女の子の手ににぎらせました。
「もっと、どっさりあげますから、こちらへいらっしゃい。」
 道化服はそんなことをいいながら、女の子の手を引いて、グングン歩いていきます。子どもは、美しいお菓子のほしさにつられて、手を引かれるままに、ついていくのです。
 ところが、そして百メートルほども歩いたとき、道化服の男は、とつぜん、チンドン屋の列をはなれて、女の子をつれたまま、さびしい横町へまがってしまいました。チンドン屋の人たちは、べつにそれをあやしむようすもなく、まっすぐに歩いていくのです。
 道化服は、横町へまがると、グングン足をはやめて、女の子を、ちかくの神社の森の中へつれこみました。
「おじちゃん、どこ行くの?」
 女の子は、人影もない森の中を見まわしながら、まだ、それとも気づかず、むじゃきにたずねるのです。
「いいところです。お菓子や、お人形のどっさりある、いいところです。」
 道化服の男は、東京の人ではないらしく、みょうにくせのあるなまりで、一こと一こと、くぎりながら、いいにくそうにいいました。
「お嬢さん、名まえいってごらんなさい。なんという名まえですか。」
「あたち、タアちゃんよ。」
 女の子は、あどけなく答えます。
「もっとほんとうの名まえは? おとうさまの名は?」
「ミヤモトっていうの。」
「宮本? ほんとうですか、篠崎ではないのですか。」
「ちがうわ。ミヤモトよ。」
「では、さっき遊んでいたうち、お嬢さんのうちではないのですか。」
「ええ、ちがうわ。あたちのうち、もっと小さいの。」
 それだけ聞くと、道化服の男は、いきなりタアちゃんの手をはなして、お面の中で、「チェッ。」と舌打ちをしました。そして、もう一こともものをいわないで、女の子を森の中へおいてけぼりにして、サッサとどこかへたちさってしまいました。
 やがて、その奇妙なできごとは、タアちゃんという女の子が、泣きながら帰ってきて、母親に告げましたので、町中のうわさとなり、警察の耳にもはいりました。幼い女の子の報告ですから、森の中での問答(もんどう)がくわしくわかったわけではありませんが、道化服のチンドン屋が、タアちゃんをつれさろうとして、中途でよしてしまったらしいことだけは、おぼろげながらわかりました。前夜の黒い魔物と同じやり方です。いよいよ、だれかしら、五つぐらいの女の子がねらわれていることが、はっきりしてきました。
 五つぐらいの女の子といえば、篠崎始君にも、ちょうどその年ごろの、かわいらしい妹があるのです。もしや怪物がねらっているのは、その篠崎家の女の子ではありますまいか、前後の事情を考えあわせると、どうもそうらしく思われるではありませんか。
 隅田川だとか、上野の森だとか、東京中のどこにでも、あのぶきみな姿をあらわして、いたずらをしていた黒い影は、だんだんそのあらわれる場所をせばめてきました。
 桂正一君が出あった場所といい、篠崎君の小さいいとこがさらわれた場所といい、こんどはまた、タアちゃんがつれさられようとした場所といい、みんな篠崎君のおうちを中心としているのです。
 怪物の目的がなんであるかが、少しずつわかってきました。しかし、ただ子どもをさらったり、その子を人質にしてお金をゆすったりするのでしたら、何も黒い影なんかに化けて、人をおどかすことはありません。これには何か、もっともっと深いたくらみがあるのにちがいないのです。
小语种学习网  |  本站导航  |  英语学习  |  网页版
10/04 01:19
首页 刷新 顶部