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少年侦探团-气球的下场(4)
日期:2021-09-19 23:56  点击:263

 しかし、もう今となっては、とりかえしがつかない。明智君のおかげで、二十面相はまた、大っぴらに仕事ができるというもんだよ。
 こうなれば、けっしてえんりょはしないぜ。これからは大手(おおで)をふって、二十面相の活動をはじめるんだ。
 明智君によろしくいってくれたまえ。このつぎには、おれが、どんなすばらしい活動をはじめるか、よく見ていてくれってね。
 じゃあ、諸君、あばよ。

 二十面相は、まえもってこうなることを見こしてこの手紙を書き、人形にもたせておいたのです。手紙を読みおわると、警官は、あまりのことに、あいた口がふさがりませんでした。
 ああ、なんという大胆不敵、傍若無人の怪物でしょう。こんどこそは、さすがの名探偵明智小五郎も、賊の先まわりをする力がなかったのです。黒い風船の手品に、まんまと、ひっかかってしまったのです。
 では、あのとき、洋館の屋根の上から、賊はどこへ逃げたのかといいますと、あとになってしらべた結果、こういうことがわかりました。あの洋館の屋根の屋上には、十枚ほどのかわらが、箱のふたのようにひらくしかけになっていて、その下に屋根裏の秘密室がこしらえてあったのです。
 賊は中村係長にとらえられそうになったとき、まず人形をのせた風船の綱を切っておいて、すばやくこの屋根裏部屋へ姿をかくしたのですが、なにしろ、あんなやみ夜のことですから、ものなれた中村係長にも、そこまで見やぶることはできなかったのです。
 人々は、ただもう、黒い風船に気をとられてしまいました。空中へ逃げだすなんて、いかにも二十面相らしい、はなやかな思いつきですから、まさか、それがうそだろうとは、考えもおよばなかったのです。
 屋根裏の秘密室だけでしたら、すぐに発見されていたにちがいありません。屋根の上で人間が消えうせたとしたら、だれでもまず、かわらにしかけがあるのではないかとうたがうでしょうからね。
 ところが、このなんでもないかくれ場所が、いっぽうの黒い軽気球というずばぬけた思いつきによって、まったく人の注意をひかなくなってしまったのです。しかも、風船のかごの中には、二十面相やその部下とそっくりの人形が乗っていたのですからね。
 さて、軽気球がとびさりますと、洋館をとりかこんでいた警官隊は、ひとり残らず引きあげてしまいました。明智探偵も、ついゆだんをして、そこを立ちさったのです。
 そのあとで、二十面相とその部下とは、屋根裏部屋で姿をかえたうえ、例の麻なわを伝わって地上におり、大手をふって門を出ていったというわけです。なんとまあ、あざやかな手品使いではありませんか。
 読者諸君、怪盗二十面相は、こうしてふたたび、わたしたちの前にあらわれました。そして、名探偵明智小五郎に、にくにくしい挑戦状をつきつけたのです。
 むろん、指をくわえてひっこむようないくじのない明智探偵ではありません。今や探偵と怪人とは、まったく新たな敵意をもって相対することになったのです。こんどこそ、死のものぐるいの知恵くらべです。一騎うちです。

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