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少年侦探团-天花板上的声音(2)
日期:2021-09-19 23:56  点击:259
 老人がそういって、戸をしめようとすると、またしても、どこからともなく、あのしわがれ声が聞こえてきました。
「なにをキョロキョロしているんだ、ここだよ。ここだよ。」
 陰にこもって、まるで水の中からでも、ものをいっているような感じです。何かしらゾーッと総毛立つような、お化けじみた声音(こわね)です。
「やい、きさまはどこにいるんだ。いったい何者だッ。ここへ出てくるがいいじゃないか。」
 門野老人が、から元気をだして、どことも知れぬ相手にどなりつけました。
「ウフフ……、どこにいると思うね。あててみたまえ……。だが、そんなことよりも、黄金塔は大じょうぶなのかね。二十面相は約束をたがえたりはしないはずだぜ。」
「何をいっているんだ。黄金塔はちゃんと床の間にかざってあるじゃないか。盗賊なんかに指一本ささせるものか。」
 門野老人は部屋の中をむやみに歩きまわりながら、姿のない敵とわたりあいました。
「ウフフフ……、おい、おい、番頭さん、きみは二十面相が、それほどお人よしだと思っているのかい。床の間のはにせもので、ほんものは土の中にうめてあることぐらい、おれが知らないとでもいうのかい。」
 それを聞くと、大鳥氏と支配人とは、ゾッとして顔を見あわせました。ああ、怪盗は秘密を知っていたのです。門野老人のせっかくの苦心はなんの役にも立たなかったのです。
「おい、あの声は、どうやら天井裏らしいぜ。」
 大鳥氏はふと気がついたように、支配人の腕をつかんで、ヒソヒソとささやきました。
 いかにも、そういえば、声は天井の方角からひびいてくるようです。天井ででもなければ、ほかに人間ひとりかくれる場所なんて、どこにもないのです。
「はあ、そうかもしれません。この天井の上に、二十面相のやつがかくれているのかもしれません。」
 支配人は、じっと天井を見あげて、ささやきかえしました。
「早く、店の者を呼んでください。そしてかまわないから、天井板をはがして、泥棒をつかまえるようにいいつけてください。さ、早く、早く。」
 大鳥氏は、両手で門野老人をおしやるようにしながら、せきたてるのです。老人はおされるままに、廊下に出て、店員たちを呼びあつめるために、店のほうへ急いでいきました。
 やがて、三人のくっきょうな店員が、シャツ一枚の姿で、脚立(きゃたつ)やこん棒などを持って、しのび足で、はいってきました。相手にさとられぬよう、ふいに天井板をはがして、賊を手どりにしようというわけです。
 門野老人の手まねのさしずにしたがって、ひとりの店員がこん棒を両手ににぎりしめ、脚立の上に乗ったかと思うと、勢いこめて、ヤッとばかりに、天井板をつきあげました。
 一つき、二つき、三つき、つづけざまにつきあげたものですから、天井板はメリメリという音をたててやぶれ、みるみる大きな穴があいてしまいました。
「さあ、これで照らしてみたまえ。」
 支配人が懐中電燈をさしだしますと、脚立の上の店員は、それを受けとって、天井の穴から首をさし入れ、屋根裏のやみの中を、アチコチと見まわしました。
 大鳥時計店は、大部分がコンクリート建ての洋館で、この座敷は、あとからべつに建てました一階建ての日本間でしたから、屋根裏といっても、さほど広いわけでなく、一目で全体が見わたせるのです。
「何もいませんよ。すみからすみまで電燈の光をあててみましたが、ネズミ一ぴきいやあしませんぜ。」
 店員はそういって、失望したように脚立をおりました。
「そんなはずはないがなあ。わしが見てやろう。」
 こんどは門野支配人が、電燈を持って、脚立にのぼり、天井裏をのぞきこみました。しかし、そこのやみの中には、どこにも人間らしいものの姿はないのです。
「おかしいですね。たしかに、このへんから聞こえてきたのですが……。」
「いないのかい。」
 大鳥氏がやや安堵(あんど)したらしく、たずねます。
「ええ、まるっきりからっぽでございます。ほんとうにネズミ一ぴきいやあしません。」
 賊の姿はとうとう発見することができませんでした。では、いったいあのぶきみな声は、どこからひびいてきたのでしょう。むろん、縁の下ではありません。厚い畳の下の声が、あんなにすっきり聞こえるわけはないからです。
 といって、そのほかに、どこにかくれる場所がありましょう。ああ、魔術師二十面相は、またしてもえたいのしれぬ魔法を使いはじめたのです。
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