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一寸法师-大小姐失踪(01)
日期:2021-09-27 23:59  点击:306

令嬢消失


「どこの方か知らぬが、あなたも随分(ずいぶん)妙ないいがかりをなさるね」
 暫く問答をくり返している内に坊さんはとうとう(おこ)り出した。
「一寸法師がどうの、人間の片腕がどうのと、あなたは夢でも見なすったのではないかね。知らんといったら知りませんよ。ご覧の通り狭い寺で、どこに人の隠れるような所がある訳でもない。お疑いなら家探(やさが)しをして下すってもいい。又、近所の人達に聞いて下すってもいい。この寺にそんな不具者が住んでいるかどうか」
「イヤ、なにもあなたをお疑いする訳ではありませんよ」紋三はもうしどろもどろになっていた。「僕のつもりでは、そういう怪しげな男が昨夜ここへ忍び込むのを見たものですから、御注意申上げたいと思って伺ったのです。でも変ですね。僕は確に見たのですが」
「見なすったら、見なすったでもいいが、(わし)は今少し忙しいので」
 坊さんは渋面(じゅうめん)を作って、気違いに取合っている暇はないといわぬばかりであった。
「イヤどうもお邪魔しました」
 紋三は仕方なく立上った。そして、ほとんど夢中で門の外まで歩いた。
「己は確にどうかしている。何という気違いじみた訪問をやったものだろう。坊主に嘲弄(ちょうろう)されるのは当然だ。だがあの調子では、(やっこ)さん別にうしろ暗いところがあるようでもない。どうも、やっぱり訳が分らないな」
 彼は暫くぼんやりして、門前にたたずんでいたが、ふと思いついて、お婆さんの居眠りをしている駄菓子屋の店先へやって行った。
「お婆さん、お婆さん、そこにあるせんべいを五十銭ばかり下さい」彼は欲しくもない買物をして何気なく尋ねて見た。「この辺に子供のような脊の低い、つまり小人(じま)だね、そういう不具者はいないだろうか。お婆さんは知らないかね」
左様(さよう)でございますね。私も永年この辺に住んでおりますが、そんなものは見かけたことも、うわさに聞いたこともございませんね」
 婆さんはけげんらしく答えた。
「この前のお寺ね、和尚(おしょう)さんのほかにどんな人が住んでいるのだい」
「アア、養源寺(ようげんじ)ですか。あすこはあなた妙なお寺でございましてね、お住持(じゅうじ)お一人切りなんですよ。ついこの間まで小僧さんが一人いましたけれど、それも暇をお出しなすったとかで見えなくなってしまいました。ほんに変くつなお方でございます。何かの時には私のつれ(あい)がお手伝いに上りますので、よく存じておりますが」

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