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一寸法师-疑惑(04)
日期:2021-09-29 23:53  点击:311

「昨夜の行動っていいますと?」
「ハハハハハ、しらばくれても駄目だ。自動車の番号まで調べがついているんだから。君が昨夜助手に変装して夫人ともう一人の男をのせて行った車は、君だって知るまいけれど、二九三六という番号なんだ」
「じゃ昨夜、あなたもどっかに隠れていたんですか」
「ソラごらん。とうとう白状してしまった。想像なんだよ。多分君だと思ったものだから、鎌をかけて見たんだよ。種をあかすとね。山野の(うち)のお雪という小間使が僕の腹心なんだ。二度目にあすこへ行って雇人達を一人一人調べた時、適当なのを選り出したのだ。無論報酬も約束したけれど、あのお雪というのは雇人の内でも一番忠義者で、お邸の為だというと、進んで僕の頼みを聞いてくれた。中々役に立つ女だよ。それが昨夜夫人のあとを尾行して、自動車の番号を覚えていてくれたのだ。それから先はお雪からの電話で、僕自身が出動して取調べた。車の番号が分っているのだから、その帳場を探し出すのは訳はない。帳場が分って運転手が分れば、今度は五円札一枚ですっかり調べがつく。君らしい男に頼まれて運転台にのせたことも、その男が二人の乗客のあとを追ったことも明白になった。だが夫人をつれ出した男は随分用心深くやったね。悪事には慣れた奴だ。目的の家の前まで車にのる様なことはしなかった。だから僕には君達の行った(うち)までは分らないけれど、自動車を止めたのが本所中之郷T町だから、僕の想像では、同じ中之郷O町の小さな門のある無商家(しもたや)じゃないかと思うのだが、どうだね」
「その通りです。どうして分りました」
 紋三は明智の名察にめんくらって、夫人のためにその(うち)を秘密にして置くつもりのを、つい忘れてしまって叫んだ。
「やっぱりそうだったか。じゃ(ついで)だからすっかり話しをするがね。その前に、見せるものがあるんだ」
 明智は手文庫の中から、細長く破れた幾つかの紙切れを取だし、丁寧に皺をのばして、卓上に並べ、順序をそろえて継ぎ合せた。
 明智は妙な紙切を継ぎ合せてしまうと、それを卓の隅におしやって置いて、手文庫の中から次々と色々な品物を取出した。例のピアノのスプリングに引懸っていた黒い金属の束髪針(そくはつピン)、三千子の鏡台から持って来た沢山の化粧品類、三千子の机の上にあった指紋つきの吸取紙、えたいの知れない石膏(せっこう)のかけら、網の様な春のショール、小型の婦人持手提(てさげ)、一枚の写真、三通の封書、それだけの品々をまるで夜店の骨董屋(こっとうや)の様に、ズラリと卓上に置き並べた。(ほか)にまだ、手文庫の底には穿()きふるしたフェルトぞうりが一足残っていた。
 小林紋三はこの驚くべき光景を見て、あっけにとられてしまった。その品々は凡て今度の事件の証拠品に相違ないのだが、いつの間に明智がこれだけのものを集めたか、一々説明を聞かないでも、その物々しい様子を見ただけで、ついさっきまで明智に対して抱いていた、多少の軽蔑の念が、あとかたもなくなってしまった。

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