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宇宙怪人-妙不可言的魔镜(02)
日期:2021-10-01 23:50  点击:238
 では、ぼくのほうでも、あいてのことばをおぼえたかと、おっしゃるのですか。ところが、それは、まったくだめなのです。あいても、なにかペチャペチャしゃべることは、しゃべるのですが、その意味は、すこしもわかりません。あいつは日本語をおぼえるだけで、自分のことばを、ぼくにおしえようとはしません。だいいち、あいつが、どの星からやってきたかということさえ、いくらたずねても、言わないのです。円盤の機械の秘密なども、これっぽっちも、おしえてはくれません。いくども、たずねると、こわい顔をして、おこりだすので、ぼくもあきらめてしまいました。
 そんなふうに、せんぽうのことばが、すこしもわからなくて、どうして日本語を、おしえることができたかと言いますと、そこが星の世界ですね。じつに、便利な道具があるのです。ぼくはそれを魔法の鏡となづけたのですが、まったく魔法の鏡ですよ。見たところは、おぼんのような、まるい銀色の金属です。それを顔の前にもってくると、ふつうの鏡とちがって、顔はうつらないで、心がうつるのです。鏡をもっている人の、心に思っているものが、そのまま写真のように銀のおぼんの表面に、あらわれるのです。つまり、心の写真をうつすフィルムなんですね。どうしてうつるかというわけは、まったくわかりません。なにしろ、宇宙のどこにあるかわからない星の世界の科学です。地球の科学では、けんとうもつきません。魔法とでもいうほかはないのです。
 たとえば、あいてが、ぼくの服を見て、それはなんというものだと、聞きたいときには、ぼくの服を心に思えばよいのです。すると、ぼくの服と同じものが鏡にうつるので、ぼくはそれを見て『フク』と、おしえてやればよいわけです。こういうおしえかたは、絵をかいてもやれますが、魔法の鏡のほうが、どれだけ、手ばやいかわかりませんよ。
 そんなふうにして、五日ほどおしえているうちに、もう、ちょっとした会話が、できるようになりました。すると、トカゲ男は、さいしょに、おそろしいことを、ぼくに申しわたしました。
『キミ、ニゲル、ハイニナル。』
と、こう言うのです。『きみが逃げると、ハイになる。』という意味らしいのですが、『ハイ』とはなんでしょう。ハエのことでしょうか。やつは星の世界の魔法で、ぼくをいっぴきのハエにかえてしまうつもりかと、びっくりしていますと、怪人は、すばやく円盤のそとへ、とびだしていって、しばらくすると、いっぴきの小ザルを、つかまえて、もどってきました。はねがあるのですから、木の上のサルをとらえることなんか、わけはないのです。
 やつは、その小ザルを、れいのやわらかい金属で、しばりつけ、逃げだせないようにしておいて、どこからか、てのひらの中にはいるような、銀色の、小さな丸いものを持ちだしてきました。それは、一方がとがっていて、ちょうどゴムのスポイトのような形をしているのです。
 トカゲ男は、そのとがったほうを小ザルにむけて、まるい部分を、ギュッと、にぎりしめました。するとあのやわらかい弾力のある金属ですから、スポイトと同じはたらきをして、中にはいっていた、なにかのガスが、白い煙をはいて、サーッと小ザルにふきつけられたのです。
 ああ、思いだしても、ゾッとします。あれは、なんという、おそろしいガスでしょう。それを、ふきかけられた小ザルは、アッというまに消えてしまったのです。そして、小ザルのいたあとに、ひとつかみの灰がのこっているばかりでした。いっぴきの動物が、一しゅんかんに、ひとつかみの灰にかわってしまったのです。
 これで『ハイ』の意味が、わかりました。ハエではなくて、灰だったのです。怪人は、おまえも、逃げだそうとすれば、このとおり、灰にしてしまうぞと、実物で見せてくれたわけです。」
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