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宇宙怪人-恐怖笼罩着地球(04)
日期:2021-10-01 23:50  点击:241

 怪人はそう言って、水谷少年の肩をグッと押しました。たいした力でもなかったのですが、石のように、かたくなっていた少年は、そのまま、あおむけに、そこへ、ころんでしまいました。ころんだまま、逃げだすこともできないで死んだようになっていました。
 すると、怪人は、ハハハハ……と、みょうな声で笑いましたが、フワリとオーバーをぬぐと、その下から、大きなコウモリのはねが、あらわれました。そして、そのはねがパッとひろがったかと思うと、いつのまにか、怪人の足が宙にういていました。
 おそろしい、はばたきでした。たおれている水谷少年が、コロコロと、二つ三つ、ころがったほどです。ブーンというような、へんな音がしました。
 はねのはえた怪人は、みるみる空へのぼっていきました。悪魔の昇天です。そして、そのネズミ色のすがたは、やがて、夕やみの空に、とけこむように、見えなくなってしまいました。
 それから、しばらくして、水谷少年が、やっと正気にかえり、下におりて、デパートの上役(うわやく)に、このことを知らせますと、デパートじゅうが、大さわぎになり、警官がかけつけましたが、すべて、もう、手おくれでした。空に消えた怪物を、おっかけるわけにはいきません。
 それからのちも、怪物は、東京のほうぼうの町に、すがたをあらわしては、空へ逃げさりました。それが、いつも、夕ぐれどきで、思いもかけぬ、へんな場所へ、あらわれるのでした。あるときは、夕やみの空を背景にして、高い高いえんとつのてっぺんに、腰かけていたこともあります。あるときは、隅田(すみだ)川の乗りあい船のかたすみに、うずくまっていたこともあります。またあるときは、後楽園(こうらくえん)野球場のスコアボールドの上に、ほおづえをついて、ねそべっていたこともあります。
 怪人は、いったい、なんのために、そんなことをしたのでしょう。新聞は、それらのできごとを、デカデカと書いて、いろいろな人の意見をのせましたが、「たぶん、怪人は、東京の人をこわがらせるために、自分のすがたを、見せびらかしているのだろう。」という意見が、いちばん多かったようです。
 ところが、やがて、この怪物は、ただ、自分の姿を見せるだけではないことが、わかってきました。日本とアメリカで、たいへんなことがおこったのです。
 ある日、東京の国立博物館から、いちばんだいじな国宝の仏像が、消えてなくなりました。それだけなら、たいしたこともないのですが、仏像といっしょに、有名な学者の、博物館長が、すがたを消してしまったのです。警察は、全力をつくして、そうさくしましたが、館長も仏像も、いつまでたっても、さがしだすことができませんでした。
 いっぽう、アメリカでは、ニューヨークの大病院の、もっとも進歩した機械と、外科(げか)部長の、世界に名をしられた博士(はくし)が、消えてなくなったのです。これも、警察の力では、なんの手がかりも、つかむことができませんでした。
 世界じゅうの新聞が、この二つの大事件を、きっと星の世界の怪物が、人も物もさらっていったのにちがいないと書きたてました。
 星のスパイが、地球で、もっとも進歩した医療の器械や、りっぱな美術品を、ぬすんだことは、それらを星の世界へもちかえって、星の国の博物館に、ちんれつするつもりだとすれば、わからないでもありません。しかし、人間までぬすみだすというのは、いったい、なんのためでしょう。地球の人間をつれかえって、星の国の動物園のオリの中へいれようというのでしょうか。そして、この学者たちから、地球のことを、いろいろ聞きだし、地球人が、どのくらいの知恵をもっているか、ためすつもりかもしれません。
 それから、しばらくすると、こんどは、このお話の、さいしょから出ている平野少年の身のうえに、おそろしいことがおこりました。トカゲ怪人は、おとなだけをあいてにしているのではなく、だんだん子どものほうへ、あのぶきみな、水かきのある指を、のばしはじめるのです。

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