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宇宙怪人-大型捕鼠器(01)
日期:2021-10-01 23:50  点击:254

巨大なネズミとり器


 北村青年が考えだした「巨大なネズミとり器」というのは、つぎのようなことでした。それを警察でも、やってみることになったのです。
 平野君のおうちから、一キロほどいったところに、ひろっぱがあって、そのまんなかに、焼けのこったコンクリートのくらが、ポツンとたっていました。警察は、そのくらを持ち主からかりうけて、中を部屋のようになおし、電灯をひき、机やイスやベッドをいれ、人が住めるようにしました。そのうえ、くらの入り口に奇妙なしかけをつくったのです。それが、どんなしかけであったかは、あとでわかります。
 すっかり、じゅんびができあがると、いよいよ、平野ゆりかさんが、ただひとりで、そのコンクリートのくらの中に住むことになったのです。ゆりかさんは、ある日、こっそりと自動車で、くらの中にひっこしをしました。そして、まいにち、バイオリンをひいて、くらしていました。
 ひろっぱの一方のはじに、小さなアパートがありましたが、ちょうど、ゆりかさんがひっこしをした日に、そのアパートの二階の一室を、ひとりの男がかりうけました。
 それは、三十歳ぐらいの、会社員のような人でしたが、べつに、会社へいくようすもなく、一日じゅう、アパートの部屋にとじこもって、窓のカーテンのすきまから、そっと、ひろっぱのほうをのぞいているのでした。
 その窓は、ちょうど、ゆりかさんの住んでいる、コンクリートのくらの入り口に、むきあっているので、くらへ出いりするものがあれば、ひとめでわかるのです。
 男は、ただ、すき見するだけでなく、大きな双眼鏡を持っていて、それを目にあてて、カーテンのすきまから、のぞいていることもあります。
 いや、それだけではありません。その部屋には、電気のスイッチ盤のような、たくさんボタンのついた機械がおいてあって、男は、ときどき、そのボタンを押しているのです。ボタンのそばには、ひとつひとつ、小さな紙がはってあり、それに、『音楽』だとか、『電灯』だとか、『ガス』だとか、みょうなことばが書いてあります。
 また、このアパートの部屋へ、ときどき、こっそりたずねてくる人がありました。おとなの人もきましたが、少年の客もありました。その少年は、ほかならぬ明智探偵の助手の小林君でした。
 小林少年は、その部屋のドアを、コツコツコツと、暗号のようなたたきかたをして、はいってくると、男のそばによって、ヒソヒソとささやくのでした。
「まだ、やってきませんか。」
 すると、男も、ささやき声で、こたえます。
「まだだよ。いくら、やっこさんでも、昼間はこられないだろう。今夜は、きっと、やってくるよ。うまく、わなにかかってくれればいいがね。」
「夜でも、だいじょうぶ、見えますか。」
「見えるよ、くらの入り口のそとに、電灯をつけたからね。それに、この双眼鏡のレンズは、明かるいのだから、手にとるように見える。」
 もうおわかりでしょう。このふしぎな男は、宇宙怪人をとらえるための、巨大なコンクリートのわなを見はっている、警視庁のうでききの刑事だったのです。
 これで怪物をとりこにするじゅんびは、すっかりできました。あとはただ、あのおそろしいやつが、コンクリートのくらへ、しのびこむのをまつばかりです。
 さて、その夜、どんなことがおこったのでしょうか。怪物ははたして、このわなにかかったでしょうか。
 それにしても、いろいろ、わからないことがあります。くらの入り口には、どんなしかけがしてあったのでしょう。また、刑事のかりた、部屋のスイッチ盤は、いったい、なんのためのものだったのでしょう。『音楽』とか『ガス』とかの押しボタンは、なにを意味するのでしょう。

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