行业分类
宇宙怪人-瓮中怪人(02)
日期:2021-10-01 23:50  点击:248
「ああ、きみは、まだなにも聞いていなかったんだね。あれは一種の毒ガスを、くらの中へおくりこむボタンだよ。くらのゆか下に、毒ガスのしかけがしてある。このボタンを押すと、そのガスが、鉛管(えんかん)をつたって、くらの中へ、おそろしい、いきおいで、ふきだすのだ。」
「あいつを、殺すんじゃないだろうね。」
「むろん、殺しては、なんにもならない。ただ、ねむらせるのだ。つまり睡眠ガスというわけだね。」
「それじゃあ、おとりにつかったおじょうさんも、いっしょに、ねむらせてしまうのかい。いや、ねむりガスが、きくまでに、おじょうさんは、あいつに、ひどいめにあうかもしれないじゃないか。」
「ハハハ……、きみは、それも知らなかったのか、おじょうさんは、だいじょうぶだよ。けっして、ひどいめにあうようなことはない。」
 中村係長は、こともなげに、言うのでした。
「きみは魚つりがすきだったね、魚つりには、ほんとうのえさではなくて、虫のかたちをした、つくりもののえさをつかうことがあるだろう。あれだよ、くらの中にいるのは、ほんとうのゆりかさんじゃないのさ。」
「だが、かえだまにしても、やっぱり生きた人間なら……。」
「いや、生きた人間じゃない。人形なんだよ。電気じかけで、手と首だけが動くようになっている、つまり自動人形なのさ。ホラ見たまえ、あのスイッチのボタンの上に『音楽』とか『電灯』とか書いてあるだろう。『音楽』というのは、人形にバイオリンをひかせるしかけのスイッチなんだ。むろん、ほんとうにひくのではないから、音は、でない。音のほうは、レコードで、聞かせるのだ。くらの机の下に電蓄(でんちく)がかくしてある。それにゆりかさんのバイオリンのレコードがかけてあって、ボタンをおすと、まわるようになっているんだ。そういう、しかけの電線は、みな地面の下を、はわせてあるので、だれにも気づかれない。『電灯』というボタンは、むろん、くらの中の電灯をつけたり、消したりするスイッチだよ。」
「フーン、そうだったのか。どうりで、みんな、へいきな顔をしていると思った。それにしても、うまいことを、考えたもんだね。」
 佐藤係長は、感じいったように、言うのでした。
「このしかけは、みな、ここにいる北村君の案だ。北村君は、なかなかの科学者だからね。ぼくらの、思いもつかないような、きばつなわなを考えだしてくれたのだよ。」
 これで、すっかりなぞがとけました。ほんとうのゆりかさんは、どこか安全な場所にかくれているのです。怪人は、にせのえさにひきよせられて、とうとう、わなにはまってしまったのです。北村青年の大てがらでした。
 そんな話をしているうちに、時間がたちました。
 もう、毒ガスが、すっかり、出つくしたころです。
 そこで、捜査課長の命令で、中村係長が、ひとりの刑事をつれて、くらの中のようすを見にいくことになりました。
 ふたりはアパートを出て、ひろっぱをよこぎり、くらの入り口に近づくと、かんのんびらきの扉を、両方とも、力まかせにパッとひらいて、遠くのほうへ、身をひきました。毒ガスをすわないためです。

小语种学习网  |  本站导航  |  英语学习  |  网页版
10/03 12:29
首页 刷新 顶部