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天空魔人-小林少年的推理
日期:2021-12-11 23:35  点击:303

小林少年の推理


「どこで見つかった?」
 波野さんも、井上君のおじさんも、思わず、いすから立ちあがりました。
「森の中です。ごぞんじのように、横目駅と、矢倉駅の間に、森野(もりの)製材株式会社のためにひいた、専用の支線があります。材木をつみだすことは、月に五―六回しかありませんから、へいぜいは、つかわない線です。あの支線の通り道に、ちょっとした森がありますね。その森のまん中に、貨車がとめてあったのです。横目駅の駅員が、つい今しがた、それを発見したんです。」
「で、中の美術品は?」
「かさばるものは、そのまま、のこってますが、持ちはこびのできる目ぼしいものは、すっかりなくなっています。近くの農家から、聞きこんだのですが、あの晩、そのへんを、トラックの通る音がしたということです。犯人がトラックで、美術品をはこんだらしいのです。」
「やっぱり、そうだったか、小林君が明察したとおり、巨人の腕じゃなかった。やっぱり犯人は人間だったね、……よしっ、それじゃ、きみ、いそいで本署へかけつけてくれたまえ。容疑者の手配だっ。そいつの写真がここにある。……ご主人、ちょっと。」
 波野さんは、トキワ館の主人を手まねきして、警官と三人で、部屋を出ていきましたが、しばらくすると、主人とふたりだけが、もどってきました。さっきの警官は、写真を持って、横目町の本署へかけつけたのでしょう。
 さすがに波野さんは、てきぱきと、事をはこびました。こんどは小林君が、感心する番でした。
 波野さんは、部屋にもどって、いすにかけると、すぐに話しはじめました。
「ところで小林君、いまの巡査もいっていたが、進行中の列車から、どうして貨車をぬきとることができたか、これが、だれにもわからないのじゃ。横目駅でも、矢倉駅でも、みんなが頭をあつめて、研究したが、このなぞは、どうしてもとけない。
 妖怪変化のしわざとでも考えるほかはないというのじゃ。小林君、いくらきみでも、この秘密はわかるまいね。」
「いいえ、わかっているのです。ぼくの推理は、この貨車の問題から出発したのです。貨車の秘密がとけたので、ほかのことも、みんなわかってしまったのです。」
 波野さんも、井上君のおじさんも、こんどこそ、心のそこから、びっくりしてしまいました。いくら名探偵の弟子でも、進行中の列車のまん中から、一両だけ貨車をとりはずすなんて、そんな魔法をとくことができるのでしょうか。
「それじゃ、説明してごらん。いったい、どうしてあの貨車を、とりはずしたんだね。」
「ぼく、紙と鉛筆を持ってきます。絵を書かないとうまく話せませんから。」
 小林君は、そういって、応接間をかけだしていきましたが、やがて、大きな白い紙と、鉛筆とを持って、もどってきました。
 そして、その紙をテーブルの上にひろげ、絵を書きながら説明をはじめるのでした。
「わかりやすくするために、十五両でなくて、五両連結の貨物列車としますよ。そして、一番めから五番めまで、番号をつけておきます。
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 とりはずすのは、三番目の三号車ときめます。いいですか。そこで、この魔術をやるのには三人の人が、ひつようです。ちょうど、ここに、ぼくたち子どもが三人いますね。ですから、仮に、ぼくたち三人で貨車をぬきとるという、たとえ話で説明しますよ。まず、三人のうちで、いちばん力の強い人、ぼくたちでいえば井上君ですね。その井上君が、この支線のさいしょの駅で、列車がとまっているときに、機関士も車掌もまだのりこまないうちに、この三号車の、駅の方からは見えない側の戸をひらいて、中にしのびこむのです。
 むろん夜ですよ。あの列車が、支線のさいしょの駅を出発したのは午後七時ですからね。
 そのとき封印をきって、錠をねじあけるのですが、たとえば、ぼくならぼくが、井上君がしのびこんだあとで、貨車の戸をしめ、錠や封印の紙を、もとのようになおして、ちょっと見たのではわからないようにしておくのです。
 井上君は、三号車にはいるときに、長い、じょうぶなワイヤロープのまるめたのを、かついではいるのです。太さが三センチもあるロープですから、子どもでは持てません。おとなでも、よっぽど力がないとだめです。ここでは、仮に井上君が、それを持てたとしておくのですよ。
 さて、列車は、あの晩七時に出発しました。そして四つか五つの駅をすぎて、横目駅につきます。あれから登り坂になって、列車の速度がひどくにぶりますから、そのときを見はからって井上君は、ひじょうにむずかしい仕事を、やらなければなりません。いくら力が強くても井上君にはとてもできませんが、そういうことになれた、がんじょうな犯人ならば、できただろうと思うのです。
 やっぱり井上君がやることにして、お話しますが、井上君は、さっき錠をやぶっておいた、駅のはんたいがわの戸をひらき、ロープのはしを、からだにくくりつけて、三号車の外がわに出るのです。貨車の外がわには、足がかりになるような、でっぱりが、かならずありますから、それをつたって、前の二号車との、連結器のところまで、たどりつくのです。
 そして、連結器の上にまたがって、二号車の連結器の輪になったところへ、ロープのはしをとおしてねじりあわせ、その上から、細い針金でぐるぐるまきつけ、どんな力で引っぱっても、とけないようにするのです。これで一つ仕事がすみました。しかしまだあるのです。井上君はそこで、もとの三号車の中へもどって、こんどは、ロープのべつのはしをからだにくくりつけ、もう一度戸の外へ出て、うしろの四号車との、連結器のところまでたどりつき、まえと同じように、四号車の連結器にロープのはしをくくりつけるのです。そうするとこんなふうになります。
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 つまり、二号車と、四号車が、強いワイヤロープでつながれたことになるのです。そのロープは、三号車の駅の方から見えない側をとおっているので、ことに夜のことですから、めったに見つかる心配はありません。
 それから、また、井上君は、両方の連結器のところへ、いかなければなりません。こんどは、ロープはもう、くくりつけてしまったから、なんにも持たないで、貨車の外をつたわっていくのです。そして、二号車と三号車の間の連結器と三号車と四号車の間の連結器をとりはずしてしまうのです。国鉄の連結器は、そんなにかってにはずせませんが、いなかの私鉄には、いまでも旧式な連結器が、ついているので、はずそうと思えば、はずれるのです。
 これで三号車が、宙に浮いてしまいました。前の貨車にも、うしろの貨車にも、つながっていないのです。でも、うしろの四号車は、二号車からのロープで引っぱられているので、間にはさまっている三号車も、うしろからおされて、進むのです。」

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