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怪人与少年侦探-黑暗中的口哨
日期:2022-02-07 19:27  点击:324

やみの中の口笛


 やがて、葬儀車は、野村さんのやしきのそばにつきました。
 怪人は百メートルほどてまえで、車を止めさせると、まず、うしろのとびらを、すこし開いて、あたりに人のいないことをたしかめてから、いきなりパッと、そとへとびだし、そのまま、野村さんの門のほうへ急ぐのでした。
 ところが、そのとき車をおりたのは、怪人ひとりではありません。さいぜんから、ずっと尾行をつづけていた、アケチ一号とよく似た車からも、黒い人影が、とびおりたのです。みなさんおさっしのとおり、それは小林少年でした。
「中村警部とそっくりだ。しかし、まさか中村さんが葬儀車にのっているはずはない。怪人の変装にきまっている。うまいもんだなあ」
 小林少年も変装の名人でしたが、それだけに、相手のうでまえが、よくわかるのです。
 小林少年は、ぴったりと、へいにからだをつけて、くらやみの中をすかしてみました。
 野村さんの門は、まだ開いたままです。中村警部にばけた怪人は、門をくぐって、どうどうと、げんかんのほうへ歩いていきます。
 ベルをおすと、書生(しょせい)がドアを開きました。
「わたしは、警視庁の中村です。みち子ちゃんは、もうかえっているでしょうね。それについて、ちょっと、ご主人に、お話ししたいことがあるのですが」
 書生は、いちどおくへはいって、すぐにもどってきました。そして「どうぞ、こちらへ」といって、応接室へ案内するのでした。
 小林少年は、怪人がドアの中へ消えるのを見さだめてから、ソッと門内へすべりこみました。
 門からげんかんまでは五十メートルもあって、たくさんの木がうえてあります。小林少年は、腰をかがめ、その木のあいだをぬうようにして、裏口とのさかいにちかづきました。そして、やみの中に身をひそめながら、口笛をふきました。西洋の民謡のひとふしらしく、ヒュー、ヒュー、ヒューッと、なんだかものさびしいメロディです。おなじふしを、二、三ど、くりかえしていると、裏庭とのさかいの戸が、音もなくスーッと開いて、黒い人影があらわれました。
 小林少年は、そのほうへ、近づいていきます。大きいのと、小さいのと、ふたつの影が、かさなりあうように見えました。
 なにかひそひそと、ささやいています。
「あいつは、中村警部にばけています。そして、げんかんから、どうどうとのりこみました。気をつけてください。おそろしく変装のうまいやつです」
 小林少年のそんなことばが、とぎれとぎれに聞こえてきました。
「ふーん、さすがにあいつだな。相手にとって、不足はない。いまに、とっちめてやるから、見ているがいい」
 なんだか、聞いたような声です。
 しかし、まっくらで、顔が見えないので、たしかめることができません。
 読者のみなさんは、もうとっくに、おわかりですね。その人は、小林少年と話しおわると、また戸をあけて、裏庭のほうへ、はいっていきます。
 小林少年も、そのあとにしたがいました。

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