「オイ、なんで、俺おれたちを呼よび戻もどしてくれなかったんだよ」
ロンはきまり悪そうに笑いながら顔を紅こう潮ちょうさせていたが、ハリーは一人だけ不ふ機き嫌げんな顔をした生徒に気づいた。はしゃいでいる一年生たちの頭の向こうに、パーシーがはっきり見えた。ハリーたちに十分近づいてから、叱しかりつけようとこっちへ向かってくる。ハリーはロンの脇わき腹ばらを小こ突づいて、パーシーのほうを顎あごでしゃくった。ロンはすぐに察さっした。
「ベッドに行かなくちゃ。――ちょっと疲れた」
ロンはそう言うと、ハリーと二人で部屋の向こう側のドアに向かった。そこから螺ら旋せん階かい段だんが寝しん室しつへと続いている。
「おやすみ」
ハリーは、パーシーと同じようにしかめっ面つらをしているハーマイオニーに呼びかけた。
背中をパシパシ叩かれながら、二人はなんとか部屋の反対側にたどり着き、螺旋階段でやっと静けさを取り戻した。急いで上まで駆かけ上り、とうとう懐なつかしい部屋の前に着いた。ドアには今度は「二年生」と書いてある。中に入ると、丸い部屋、赤いベルベットのカーテンが掛かかった四よん本ほん柱ばしらのあるベッドが五つ、細長い高たか窓まど、見なれた光こう景けいだった。二人のトランクはもう運び込まれていて、ベッドの端はしのほうに置いてあった。
ロンはハリーを見て、バツが悪そうにニヤッと笑った。
「僕ぼく、あそこで喜んだりなんかしちゃいけないって、わかってたんだけど、でも――」
ドアがパッと開いて同どう室しつのグリフィンドール二年生がなだれ込んできた。シェーマス・フィネガン、ディーン・トーマス、ネビル・ロングボトムだ。
「ほんとかよ」シェーマスがにっこりした。
「かっこいい」とディーンが言った。
「すごいなあ」ネビルは感かん動どうで打ちのめされていた。
ハリーも我が慢まんできなくなった。そしてニヤッと笑った。