それから二、三日は、ギルデロイ・ロックハートが廊ろう下かを歩いてくるのが見えるたびに、さっと隠かくれるという手の繰くり返しで、ハリーはずいぶん時間を取られた。それより厄やっ介かいなのがコリン・クリービーだった。どうもハリーの時間割を暗あん記きしているらしい。「ハリー、元気かい」と一日に六回も七回も呼びかけ、「やぁ、コリン」とハリーに返事をしてもらうだけで、たとえハリーがどんなに迷めい惑わくそうな声を出そうが、コリンは最高にわくわくしているようだった。
ヘドウィグはあのひどく惨みじめな空のドライブのことで、ハリーに腹を立てっぱなしだったし、ロンの杖つえは相変あいかわらず使い物にならなかった。金曜日の午前、「妖よう精せいの呪じゅ文もん」の授じゅ業ぎょう中に、杖はキレてロンの手から飛び出し、チビの老ろう教きょう授じゅ、フリットウィック先生の眉み間けんにまともに当たり、そこが大きく腫はれ上がって、ズキンズキン痛そうな緑色のこぶを作った。あれやこれやで、やっと週しゅう末まつになってハリーはほっとした。土曜日の午前中に、ロンやハーマイオニーと一いっ緒しょに、ハリーはハグリッドを訪たずねる予定だった。ところが、起きたいと思っていた時間より数時間も早く、グリフィンドール・クィディッチ・チームのキャプテン、オリバー・ウッドに揺ゆり起こされた。
「にゃにごとなの」とハリーは寝ね呆ぼけ声を出した。
「クィディッチの練習だ 起きろ」ウッドが怒ど鳴なった。
ハリーは薄うす目めを開けて窓を見た。ピンクと金色の空に、うっすらと朝あさ靄もやがかかっている。目が覚めてみれば、こんなに鳥が騒さわがしく鳴いているのに、よくも寝ていられたものだと思った。
「オリバー、夜よが明けたばかりじゃないか」ハリーは嗄かすれ声で言った。
「そのとおり」
ウッドは背が高くたくましい六年生で、その目は、いまや普通とは思えない情じょう熱ねつでギラギラ輝かがやいていた。