ハリーとロンが度ど肝ぎもを抜かれた顔をしているのを無む視しして、ハーマイオニーはすらすらと言った。そしてふっくらしたチョコレートケーキを二個差し出した。
「簡単な眠り薬を仕し込こんでおいたわ。あなたたちはクラッブとゴイルがこれを見つけるようにしておけば、それだけでいいの。あの二人がどんなに意い地じ汚きたないか、ご存ぞん知じのとおりだから、絶対食べるに決まってる。眠ったら、髪かみの毛を二、三本引っこ抜いて、それから二人を箒ほうき用ようの物もの置おきに隠かくすのよ」
ハリーとロンは大だい丈じょう夫ぶかなと顔を見合わせた。
「ハーマイオニー、僕ぼく、だめなような――」
「それって、ものすごく失敗するんじゃ――」
しかし、ハーマイオニーの目には、厳げん格かくそのもののきらめきがあった。時々マクゴナガル先生が見せるあれだ。
「煎せんじ薬ぐすりは、クラッブとゴイルの毛がないと役に立ちません」断だん固こたる声だ。
「あなたたち、マルフォイを尋じん問もんしたいの したくないの」
「あぁ、わかったよ。わかったよ」とハリーが言った。
「でも、君のは 誰の髪かみの毛を引っこ抜ぬくの」
「私のはもうあるの」ハーマイオニーは高らかにそう言うと、ポケットから小こ瓶びんを取り出し、中に入っている一本の髪の毛を見せた。
「覚えてる 決けっ闘とうクラブで私と取とっ組くみ合ったミリセント・ブルストロード。私の首を絞しめようとした時、私のローブにこれが残ってたの それに、彼女、クリスマスで帰っちゃっていないし。――だから、スリザリン生せいには、学校に戻もどってきちゃったと言えばいいわ」
ハーマイオニーがポリジュース薬やくの様子ようすを見に、慌あわただしく出ていったあとで、ロンが運命に打ちひしがれたような顔でハリーを見た。
「こんなにしくじりそうなことだらけの計画って、聞いたことあるかい」