「行け! アリシア!」
競きょう技ぎ場じょうがいっせいに沈ちん黙もくに覆おおわれる中、リー・ジョーダンが叫んだ。
「やったー! キーパーを破りました! 二〇対〇、グリフィンドールのリード!」
ハリーはファイアボルトを急きゅう旋せん回かいさせ、フリントを見守った。まだ鼻血を出しながら、フリントがスリザリン側のペナルティ・スローのために前に飛んだ。ウッドがグリフィンドールのゴールの前に浮かび、歯を食いしばっている。
「なんてったって、ウッドはすばらしいキーパーであります!」
フリントがフーチ先生のホイッスルを待つ間、リー・ジョーダンが観衆に語りかけた。
「すっばらしいのです! キーパーを破るのは難しいのです――間違いなく難しい――やったー! 信じらんねえぜ! ゴールを守りました!」
ハリーはほっとしてその場を飛び去り、あたりに目を配ってスニッチを探した。その間もリーの解かい説せつを、一ひと言ことも聞き漏もらさないように注意した。グリフィンドールが五〇点の差さをつけるまではマルフォイをスニッチに近づけないようにすることが肝かん心じんだ。
「グリフィンドールの攻こう撃げき、いや、スリザリンの攻撃――いや!――グリフィンドールがまたボールを取り戻もどしました。ケイティ・ベルです。グリフィンドールのケイティ・ベルがクアッフルを取りました。ピッチを矢のように飛んでいます――あいつめ、わざとやりやがった!」
スリザリンのチェイサー、モンタギューがケイティの前方に回り込こみ、クアッフルを奪うばう代わりにケイティの頭をむんずとつかんだ。ケイティは空中でもんどり打ったが、なんとか箒ほうきからは落ちずにすんだ。しかし、クアッフルは取り落とした。
フーチ先生のホイッスルがまた鳴り響ひびき、先生が下からモンタギューのほうに飛び上がって叱しかりつけた。一分後、ケイティがスリザリンのキーパーを破ってペナルティを決めた。
「三〇対〇! ざまぁ見ろ、汚きたない手を使いやがって。卑ひ怯きょう者もの――」
「ジョーダン、公こう平へい中ちゅう立りつな解説ができないなら――!」
「先生、ありのまま言ってるだけです!」