ウッドがハリーのほうに飛んできた。涙でほとんど目が見えなくなっている。ハリーの首を抱きしめ、ハリーの肩に顔を埋うずめて、ウッドは止めどなく泣きに泣いた。ハリーはバシリ、バシリと二度叩たたかれるのを感じた。フレッドとジョージだった。それから、アンジェリーナ、アリシア、ケイティの声が聞こえた。
「優ゆう勝しょう杯はいよ! わたしたちが優勝よ!」
腕うでを絡からませ、抱き合い、もつれ合い、声をからして叫さけびながら、グリフィンドール・チームは地上に向かって降下していった。
真紅しんくの応おう援えん団だんが柵さくを乗り越こえて、波のようにピッチになだれ込んだ。選手は雨あられと背中を叩かれた。ごった返しの中で、大おお勢ぜいが大騒ぎでどっと押しよせてくるのをハリーは感じた。次の瞬しゅん間かん、ハリーも他の選手も、みんなに肩車されていた。肩車の上で光を浴あび、ハリーはハグリッドの姿を見た。真紅のバラ飾りをべたべたつけている――。
「やっつけたぞ、ハリー。おまえさんがやつらをやっつけた! バックビークに早く教えてやんねえと!」
パーシーもいつもの尊そん大だいぶりはどこへやら、狂ったようにピョンピョン跳とびはねている。マクゴナガル先生はウッド顔負けの大泣きで、巨大なグリフィンドールの寮りょう旗きで目を拭ぬぐっていた。そして、ハリーに近づこうと必死ひっしに人群ひとむれをかき分ける、ロンとハーマイオニーの姿があった。二人とも言葉が出ない。肩車でスタンドのほうに運ばれていくハリーに、二人はただにっこりと笑いかけた。その先ではダンブルドアが、大きなクィディッチ優ゆう勝しょう杯はいを持って待っている。
もし、いま、吸魂鬼ディメンターがそのあたりにいたら……ウッドがしゃくりあげながら優勝杯をハリーに渡わたし、ハリーがそれを天高く掲かかげた時……いまなら世界一すばらしい守護霊パトローナスを創つくり出せる、とハリーは思った。