それは違う、とハリーは急に思い出した。……スキャバーズはクルックシャンクスに出会う前から弱っているようだった……ロンがエジプトから帰って以来ずっとだ……ブラックが脱獄して以来ずっとだ……。
「この猫は狂ってはいない」
ブラックのかすれ声がした。骨と皮ばかりになった手を伸ばし、ブラックはクルックシャンクスのふわふわした頭を撫なでた。
「わたしの出会った猫の中で、こんなに賢かしこい猫はまたといない。ピーターを見るなり、すぐ正体を見抜いた。わたしに出会った時も、わたしが犬でないことを見破った。わたしを信用するまでにしばらくかかった。ようやっと、わたしの狙ねらいをこの猫に伝えることができて、それ以来わたしを助けてくれた……」
「それ、どういうこと?」ハーマイオニーが息をひそめた。
「ピーターを、わたしのところに連れてこようとした。しかし、できなかった。……そこでわたしのためにグリフィンドール塔とうへの合あい言こと葉ばを盗ぬすみ出してくれた……誰か男の子のベッド脇わきの小こ机づくえから持ってきたらしい……」
ハリーは話を聞きながら、混こん乱らんして、頭が重く感じられた。そんなバカな……でも、やっぱり……。
「しかし、ピーターは事ことの成り行きを察知さっちして、逃げ出した。……この猫は――クルックシャンクスという名だね?――ピーターがベッドのシーツに血の痕あとを残していったと教えてくれた。……たぶん自分で自分を噛かんだのだろう……そう、死んだと見せかけるのは、前にも一度うまくやったのだし……」
この言葉でハリーはハッと我われに返った。
「それじゃ、なぜピーターは自分が死んだと見せかけたんだ?」
ハリーは激はげしい語調で聞いた。
「おまえが、僕ぼくの両親を殺したと同じように、自分をも殺そうとしていると気づいたからじゃないか!」
「違う。ハリー――」ルーピンが口を挟はさんだ。
「それで、今度は止とどめを刺さそうとしてやってきたんだろう!」
「そのとおりだ」ブラックは殺気さっき立った目でスキャバーズを見た。
「それなら、僕はスネイプにおまえを引き渡わたすべきだったんだ!」ハリーが叫さけんだ。
「ハリー」
ルーピンが急せき込こんで言った。
「わからないのか? 私たちは、ずっと、シリウスが君のご両親を裏切うらぎったと思っていた。ピーターがシリウスを追いつめたと思っていた。――しかし、それは逆だった。わからないかい? ピーターが君のお父さん、お母さんを裏切うらぎったんだ。――シリウスがピーターを追いつめたんだ――」
「嘘うそだ!」
ハリーが叫さけんだ。
「ブラックが『秘密ひみつの守もり人びと』だった! ブラック自身があなたが来る前にそう言ったんだ。こいつは、自分が僕の両親を殺したと言ったんだ!」
“这只猫没有发疯。”布莱克哑着嗓子说,伸出瘦骨嶙岣的手去抚摸克鲁克山那毛烘烘的脑袋。“它是我遇到过的最聪明的猫。它马上就认出了彼得是什么东西。它遇到我的时候,就知道我不是狗。过了好一阵子它才相信我。最后,我想办法和它沟通,告诉它我想于什么,于是它一直在帮助我..”
哈利听到这许多东西之后,他的大脑似乎不胜负担了。很荒唐..不过..
“但是彼得昕到了风声,知遭事情的进展,于是就逃了..这只猫—— 克鲁克山,你们是这么叫的吗?告诉我彼得在床单上留下了血迹..我想他是咬了自己..唔,假装自己死了,这种做法已经成功了一次..”
这些话让哈利脑子清楚起来了。
“他为什么要装死呢?”他大怒着说,“因为他知道你会杀死他,就像当年你杀死我父母一样!”
“不对,”卢平说,“哈利—— ”
“你现在来是要结果他!”
“那我应该让斯内普抓住你!”哈利大叫。
“哈利,”卢乎匆忙说,“你还不懂吗?我们一直认为布莱克背叛了你的父母,而彼得追杀布莱克—— 但实际情况正好相反,你知道吗?彼得背叛了你的妈妈和爸爸,小天狼星追踪彼得—— ”
“那不是真的!”哈利大叫,“他是他们的保密人!你来以前他是这样说的,他说他杀了他们!”