ルーピンはさっとロンのそばに行き、屈かがんでロンの足を杖で軽く叩たたき、「フェルーラ! 巻け!」と唱となえた。副そえ木ぎで固定したロンの足に包帯が巻きついた。ルーピンが手を貸してロンを立たせ、ロンは恐る恐る足に体重をかけたが、痛さに顔をしかめることもなかった。
「よくなりました。ありがとう」ロンが言った。
「スネイプ先生はどうしますか?」
ハーマイオニーが、首うなだれて伸びているスネイプを見下ろしながら、小声で言った。
「こっちは別に悪いところはない」
屈かがんでスネイプの脈を取りながら、ルーピンが言った。
「君たち三人とも、ちょっと――過激かげきにやりすぎただけだ。スネイプはまだ気絶きぜつしたままだ。ウム――我われ々われが安全に城に戻もどるまで、このままにしておくのが一番いいだろう。こうして運べばいい……」
ルーピンが「モビリコーパス! 体よ動け!」と唱えた。手首、首、膝ひざに見えない糸が取りつけられたように、スネイプの体が引ひっ張ぱり上げられ、立ち上がった。頭部はまだぐらぐらと据すわり心地悪そうに垂たれ下がったままで、まるで異様いような操あやつり人形だ。足をぶらぶらさせ、床から数センチ上に吊つるし上げられていた。ルーピンは「透とう明めいマント」を拾い上げ、ポケットにきちんとしまった。
「誰か二人、こいつとつながっておかないと」
ブラックが足の爪つま先さきでペティグリューを小こ突づきながら言った。
「万一のためだ」
「わたしがつながろう」ルーピンだ。
「僕ぼくも」
ロンが片足を引きずりながら進み出て、乱暴に言った。
ブラックは空中からひょいと重い手て錠じょうを取り出した。再び、ペティグリューは二本足で立ち、その左ひだり腕うではルーピンの右腕に、そして右腕はロンの左腕につながれていた。ロンは口を真ま一いち文もん字じに結んでいた。スキャバーズの正体を、ロンはまるで自分への屈くつ辱じょくと受け取ったように見えた。クルックシャンクスがひらりとベッドから飛び降おり、先頭に立って部屋を出た。瓶びん洗いブラシのような尻尾しっぽを誇ほこらしげにきりっと上げながら。