「ブランストーン、エレノア!」
「ハッフルパフ!」
「コールドウェル、オーエン!」
「ハッフルパフ!」
「クリービー、デニス!」
チビのデニス・クリービーは、ハグリッドのオーバーにつまずいてつんのめった。ちょうどそのとき、ハグリッドが教職員テーブルの後ろにある扉とびらから、体を斜めにしてそっと入ってきた。背せ丈たけは普通の二倍、横よこ幅はばは少なくとも普通の三倍はあろうというハグリッドは、モジャモジャともつれた長い髪かみも髯ひげも真っ黒で、見るからにドキリとさせられる――間違った印象を与えてしまうのだ。ハリー、ロン、ハーマイオニーは、ハグリッドがどんなにやさしいか知っていた。教職員テーブルのいちばん端はしに座りながら、ハグリッドは三人にウィンクし、デニス・クリービーが組分け帽子をかぶるのをじっと見た。帽子のつば元の裂さけ目が大きく開いた――。
「グリフィンドール!」帽子が叫んだ。
ハグリッドがグリフィンドール生と一いっ緒しょに手を叩たたく中、デニス・クリービーはニッコリ笑って帽ぼう子しを脱ぎ、それを椅子に戻し、急いで兄のところにやってきた。
「コリン、僕、落っこちたんだ!」デニスは空あいた席に飛び込みながら、甲かん高だかい声で言った。
「すごかったよ! そしたら、水の中の何かが僕を捕まえてボートに押し戻したんだ!」
「すっごい!」コリンも同じぐらい興こう奮ふんしていた。「たぶん、それ、デニス、大イカだよ!」
「ウワーッ!」デニスが叫さけんだ。嵐に波立つ底知れない湖に投げ込まれ、巨大な湖の怪物によってまた押し戻されるなんて、こんなすてきなことは、願ったってめったに叶かなうものじゃない、と言わんばかりのデニスの声だ。
「デニス! デニス! あそこにいる人、ね? 黒い髪かみでメガネかけてる人、ね? 見える? デニス、あの人、誰だか知ってる?」
ハリーはそっぽを向いて、いまエマ・ドブズに取りかかった組分け帽子をじっと見つめた。