スリザリン・チームが並んで待っていた。選手も王おう冠かん形がたの銀バッジを着けている。新キャプテンのモンタギューはダドリー・ダーズリー系けいの体型たいけいで、巨大な腕は毛むくじゃらの丸ハムのようだ。その後ろにのっそり控ひかえるクラッブとゴイルも、ほとんど同じくらいでかく、バカまる出しの瞬まばたきをしながら、新品のビーター棍棒こんぼうを振り回していた。マルフォイはプラチナ・ブロンドの髪かみを輝かがやかせて、その脇わきに立っていた。ハリーと目が合うと、ニヤリとして、胸の王冠形バッジを軽く叩たたいて見せた。
「キャプテン同士、握手あくしゅ」
審判しんぱんのマダム・フーチが号令ごうれいをかけ、アンジェリーナとモンタギューが歩み寄った。アンジェリーナは顔色一つ変えなかったが、モンタギューがアンジェリーナの指を砕くだこうとしているのがハリーにはわかった。
「箒ほうきに跨またがって……」
マダム・フーチがホイッスルを口にくわえ、吹き鳴らした。
ボールが放はなたれ、選手十四人が一斉に飛ひ翔しょうした。ロンがゴールポストのほうに勢いよく飛び去るのを、ハリーは横目で捕とらえた。ハリーはブラッジャーをかわしてさらに高く飛び、金色こんじきの煌きらめきを探して目を凝こらし、フィールドを大きく回りはじめた。ピッチの反対側で、ドラコ・マルフォイがまったく同じ動きをしていた。
「さあ、ジョンソン選手――ジョンソンがクアッフルを手にしています。なんというよい選手でしょう。僕はもう何年もそう言い続けているのに、あの女性はまだ僕とデートをしてくれなくて――」
「ジョーダン」マクゴナガル先生が叱しかりつけた。
「――ほんのご愛あい嬌きょうですよ、先生。盛り上がりますから――そして、アンジェリーナ選手、ワリントンをかわしました。モンタギューを抜いた。そして――アイタッ――クラッブの打ったブラッジャーに後ろからやられました……モンタギューがクアッフルをキャッチ。モンタギュー、ピッチをバックします。そして――ジョージ・ウィーズリーからいいブラッジャーが来た。ブラッジャーが、それっ、モンタギューの頭に当たりました。モンタギュー、クアッフルを落とします。ケイティ・ベルが拾ひろった。グリフィンドールのケイティ・ベル、アリシア・スピネットにバックパス。スピネット選手、行きます――」
リー・ジョーダンの解説かいせつが、競技場に鳴り響ひびいた。耳元で風がヒューヒュー鳴り、観かん衆しゅうが叫さけび、野や次じり、歌う喧騒けんそうの中で、ハリーはそれを聞き取ろうと必死で耳を傾けていた。
「――ワリントンをかわした。ブラッジャーをかわした――危なかった、アリシア――観かん客きゃくが沸わいています。お聞きください。この歌は何でしょう」