それでもロンは、それから数日というもの、ヴォルデモートに関する軽口かるくちを叩たたかないように気をつけた。それ以後はウィーズリー夫人の癇かん癪しゃく玉だまが破裂はれつすることもなく、土曜日の朝が明けた。だが、朝食のとき、おばさんはとてもぴりぴりしているように見えた。ビルはフラーと一いっ緒しょに家に残ることになっていたが(ハーマイオニーとジニーは大喜びだった)、テーブルの向かい側から、ぎっしり詰まった巾きん着ちゃくをハリーに渡した。
「僕のは?」ロンが目を見み張はって、すぐさま尋たずねた。
「ばーか、これはもともとハリーの物だ」ビルが言った。
「ハリー、君の金庫から出してきておいたよ。なにしろこのごろは、金かねを下ろそうとすると、一般の客なら五時間はかかる。小鬼ゴブリンがそれだけ警けい戒かい措そ置ちを厳きびしくしているんだよ。二日前も、アーキー・フィルポットが『潔白けっぱく検けん査さ棒ぼう』を突っ込まれて……まあ、とにかく、こうするほうが簡単かんたんなんだから」
「ありがとう、ビル」ハリーは礼を言って巾着をポケットに入れた。
「このいひとはいつも思いやりがありまーす」
フラーはビルの鼻はなを撫なでながら、うっとりと優やさしい声で言った。ジニーがフラーの陰かげで、コーンフレークスの皿に吐はくまねをした。ハリーはコーンフレークスに咽むせ、ロンがその背中をトントンと叩いた。
第6章 ドラコ・マルフォイの回り道(3)
それでもロンは、それから数日というもの、ヴォルデモートに関する軽口かるくちを叩たたかないように気をつけた。それ以後はウィーズリー夫人の癇かん癪しゃく玉だまが破裂はれつすることもなく、土曜日の朝が明けた。だが、朝食のとき、おばさんはとてもぴりぴりしているように見えた。ビルはフラーと一いっ緒しょに家に残ることになっていたが(ハーマイオニーとジニーは大喜びだった)、テーブルの向かい側から、ぎっしり詰まった巾きん着ちゃくをハリーに渡した。
「僕のは?」ロンが目を見み張はって、すぐさま尋たずねた。
「ばーか、これはもともとハリーの物だ」ビルが言った。
「ハリー、君の金庫から出してきておいたよ。なにしろこのごろは、金かねを下ろそうとすると、一般の客なら五時間はかかる。小鬼ゴブリンがそれだけ警けい戒かい措そ置ちを厳きびしくしているんだよ。二日前も、アーキー・フィルポットが『潔白けっぱく検けん査さ棒ぼう』を突っ込まれて……まあ、とにかく、こうするほうが簡単かんたんなんだから」
「ありがとう、ビル」ハリーは礼を言って巾着をポケットに入れた。
「このいひとはいつも思いやりがありまーす」
フラーはビルの鼻はなを撫なでながら、うっとりと優やさしい声で言った。ジニーがフラーの陰かげで、コーンフレークスの皿に吐はくまねをした。ハリーはコーンフレークスに咽むせ、ロンがその背中をトントンと叩いた。