ハリーの思ったとおりだった。ここに招まねかれた客は、誰だれか有名人か有力者とつながりがある――ジニーを除のぞいて、全員がそうだ。
マクラーゲンの次に尋じん問もんされたザビニは、有名な美人の魔女を母に持っているらしい(母親は七回結婚し、どの夫もそれぞれ推すい理り小しょう説せつのような死に方をして、妻に金貨の山を残したということを、ハリーはなんとか理解できた)。
次はネビルの番だった。どうにも居心地のよくない十分だった。なにしろ、有名な闇やみ祓ばらいだったネビルの両親は、ベラトリックス・レストレンジとほかの二人の死し喰くい人びとたちに、正気を失うまで拷ごう問もんされたのだ。ネビルを面接した結果、ハリーの印象では、両親の何らかの才能を受け継ついでいるかどうかについて、スラグホーンは結論を保ほ留りゅうしたようだった。
「さあ、こんどは」
スラグホーンは、一番人気の出し物を紹しょう介かいする司会者の雰ふん囲い気きで、大きな図体の向きを変えた。
「ハリー・ポッター! いったい何から始めようかね? 夏休みに会ったときは、ほんの表面を撫なでただけ、そういうような感じでしたな!」
スラグホーンは、ハリーが脂あぶらの乗った特別大きな雉肉きじにくででもあるかのように眺ながめ回し、それから口を開いた。
「『選ばれし者』。いま君はそう呼ばれている!」
ハリーは何も言わなかった。ベルビィ、マクラーゲン、ザビニの三人もハリーを見つめていた。
「もちろん」
スラグホーンは、ハリーをじっと見ながら話し続けた。
「もう何年も噂うわさはあった……わたしは憶おぼえておるよ、あの――それ――あの恐ろしい夜のあと――リリーも――ジェイムズも――そして君は生き残った――そして、噂が流れた。君がきっと、尋じん常じょうならざる力を持っているに違い――」
ザビニがコホンと咳せきをした。明らかに「それはどうかな」とからかっていた。スラグホーンの背後から突然、怒りの声が上がった。
「そうでしょうよ、ザビニ。あなたはとっても才能があるものね……格好かっこうをつけるっていう才能……」
「おや、おや!」
スラグホーンはジニーを振り返って心地よさそうにクスクス笑った。ジニーの視線しせんがスラグホーンの巨大な腹を乗り越えて、ザビニを睨にらみつけていた。
「ブレーズ、気をつけたほうがいい! こちらのお嬢じょうさんがいる車両を通り過ぎるときに、ちょうど見えたんですよ。それは見事な『コウモリ鼻糞はなくその呪のろい』をかけるところがね! わたしなら彼女には逆らわないね!」
ザビニは、フンという顔をしただけだった。