ところが、ハーマイオニーは怪訝けげんそうな顔をした。
「でも、トンクスはどうなるの」
「トンクスがどうなるって」ルーピンが聞き返した。
「だって」ハーマイオニーが顔をしかめた。「あなたたちは結婚しているわ あなたが私たちと一緒に行ってしまうことを、トンクスはどう思うかしら」
「トンクスは、完全に安全だ」ルーピンが言った。「実家に帰ることになるだろう」
ルーピンの言い方に、何か引っかかるものがあった。ほとんど冷たい言い方と言ってもよかった。トンクスが両親の家に隠れて過ごすという考えも、何か変だった。トンクスは、何と言っても騎き士し団だんのメンバーだし、ハリーが知るかぎり、戦いの最中さなかにいたがる性分しょうぶんだ。
「リーマス」
ハーマイオニーが遠えん慮りょがちに聞いた。
「うまくいっているのかしら……あの……あなたと――」
「すべてうまくいっている。どうも」
ルーピンは、余計よけいな心配だと言わんばかりだった。
ハーマイオニーは赤くなった。しばらく間があいた。気詰まりでばつの悪い沈ちん黙もくだったが、やがてルーピンが、意を決して不快なことを認めるという雰ふん囲い気きで口を開いた。
「トンクスは妊にん娠しんしている」
「まあ、素敵すてき」ハーマイオニーが歓かん声せいを上げた。
「いいぞ」ロンが心から言った。
「おめでとう」ハリーが言った。
ルーピンは作り笑いをしたが、むしろしかめ面に見えた。
「それで……私の申し出を受けてくれるのか 三人が四人になるか ダンブルドアが承しょう知ちしないとは考えられない。何と言っても、あの人が私を闇やみの魔術まじゅつに対する防ぼう衛えい術じゅつの教師きょうしに任にん命めいしたんだからね。それに、言っておくが、我々は、ほとんど誰も出会ったことがなく、想像したこともないような魔法と対決することにな�div>
ところが、ハーマイオニーは怪訝けげんそうな顔をした。
「でも、トンクスはどうなるの」
「トンクスがどうなるって」ルーピンが聞き返した。
「だって」ハーマイオニーが顔をしかめた。「あなたたちは結婚しているわ あなたが私たちと一緒に行ってしまうことを、トンクスはどう思うかしら」
「トンクスは、完全に安全だ」ルーピンが言った。「実家に帰ることになるだろう」
ルーピンの言い方に、何か引っかかるものがあった。ほとんど冷たい言い方と言ってもよかった。トンクスが両親の家に隠れて過ごすという考えも、何か変だった。トンクスは、何と言っても騎き士し団だんのメンバーだし、ハリーが知るかぎり、戦いの最中さなかにいたがる性分しょうぶんだ。
「リーマス」
ハーマイオニーが遠えん慮りょがちに聞いた。
「うまくいっているのかしら……あの……あなたと――」
「すべてうまくいっている。どうも」
ルーピンは、余計よけいな心配だと言わんばかりだった。
ハーマイオニーは赤くなった。しばらく間があいた。気詰まりでばつの悪い沈ちん黙もくだったが、やがてルーピンが、意を決して不快なことを認めるという雰ふん囲い気きで口を開いた。
「トンクスは妊にん娠しんしている」
「まあ、素敵すてき」ハーマイオニーが歓かん声せいを上げた。
「いいぞ」ロンが心から言った。
「おめでとう」ハリーが言った。
ルーピンは作り笑いをしたが、むしろしかめ面に見えた。
「それで……私の申し出を受けてくれるのか 三人が四人になるか ダンブルドアが承しょう知ちしないとは考えられない。何と言っても、あの人が私を闇やみの魔術まじゅつに対する防ぼう衛えい術じゅつの教師きょうしに任にん命めいしたんだからね。それに、言っておくが、我々は、ほとんど誰も出会ったことがなく、想像したこともないような魔法と対決することになるに違いない」
ロンとハーマイオニーが、同時にハリーを見た。
「ちょっと――ちょっと確かめたいんだけど」ハリーが言った。「トンクスを実家に置いて、僕たちと一緒いっしょに来たいんですか」
「あそこにいれば、トンクスは完かん璧ぺきに安全だ。両親が面倒を見てくれるだろう」
ルーピンが言った。ルーピンの言い方は、ほとんど冷れい淡たんと言ってよいほどきっぱりしていた。
「ハリー、ジェームズなら間違いなく、私に君と一緒にいてほしいと思ったに違いない」
「さあ」ハリーは、考えながらゆっくりと言った。
「僕はそうは思わない。はっきり言って、僕の父はきっと、あなたがなぜ自分自身の子どもと一緒にいないのかと、わけを知りたがっただろうと思う」