「新しい体たい制せいが、マグル生まれを悪だと考えるなら」ハリーは話し続けた。「あの連中は、騎士団員の父親を持つ半狼人間をどうするでしょう 僕の父は母と僕を守ろうとして死んだ。それなのに、その父があなたに、子どもを棄すてて僕たちと一緒に冒ぼう険けんに出かけろと、そう言うとでも思うんですか」
「よくもそんなことが――そんなことが言えるな」
ルーピンが言い返した。
「何かを望んでのことじゃない――冒険ぼうけんとか個人的な栄光とか――どこを突ついたらそんなものが出て――」
「あなたは、少し向こう見ずな気持になっている」ハリーが言った。「シリウスと同じことをしたいと思っている――」
「ハリー、やめて」
ハーマイオニーがすがるように言ったが、ハリーは、青あお筋すじを立てたルーピンの顔をにらみつけたままだった。
「僕には信じられない」ハリーが言葉を続けた。「僕に吸きゅう魂こん鬼きとの戦い方を教えた人が――腰抜けだったなんて」
ルーピンは杖つえを抜いた。あまりの速さに、ハリーは自分の杖に触ふれる間もなかった。バーンと大きな音とともに、ハリーは、殴なぐり倒されたように仰向あおむけに吹っ飛ぶのを感じた。厨房ちゅうぼうの壁かべにぶつかり、ズルズルと床に滑すべり落ちたとき、ハリーは、ルーピンのマントの端はしがドアの向こうに消えるのをちらりと目にした。
「リーマス、リーマス、戻ってきて」
ハーマイオニーが叫さけんだが、ルーピンは応こたえなかった。まもなく玄げん関かんの扉とびらがバタンと閉まる音が聞こえた。
「ハリー」ハーマイオニーは泣き声だった。「あんまりだわ」
「いくらでも言ってやる」
そう言うと、ハリーは立ち上がった。壁にぶつかった後頭部に瘤こぶがふくれ上がるのを感じた。怒りが収まらず、ハリーはまだ体を震ふるわせていた。
「そんな目で僕を見るな」
ハリーはハーマイオニーに噛かみつい�