ハリーはティアラに飛びついていた。クラッブの呪のろいはハリーを逸それたが、石像に当たり、石像が宙に飛んだ。髪かみ飾かざりは高く舞い上がり、石像が載のっていたガラクタの山の中に落ちて見えなくなった。
「やめろ」
マルフォイがクラッブを怒ど鳴なりつけた。その声は、巨大な部屋に響ひびき渡った。
「闇やみの帝てい王おうは、生きたままのポッターをお望みなんだ――」
「それがどうした いまの呪じゅ文もんは殺そうとしていないだろう」
クラッブは、自分を押さえつけているマルフォイの手を払い退のけながら叫さけんだ。
「生あい憎にく、俺おれは、やれたら殺やってやる。闇の帝王はどっちみち、やつを殺やりたいんだ。どこが違うって言――」
真っ赤な閃せん光こうがハリーをかすめて飛び去った。ハーマイオニーがハリーの背後から、角を回って走り寄り、クラッブの頭目がけて「失しっ神しんの呪じゅ文もん」を放はなったのだ。マルフォイがクラッブを引いて避よけたために、わずかのところで呪文は的を外はずれた。
「あの『穢けがれた血』だ アバダ ケダブラ」
ハリーは、ハーマイオニーが横っ跳びにかわすのを見た。クラッブは殺すつもりで狙ねらいをつけていた。ハリーの怒りが爆発し、ほかのいっさいが頭から吹き飛んでしまった。ハリーはクラッブ目がけて「失神の呪文」を撃うったが、クラッブは呪文を避よけるのにグラッとよろけ、弾はずみでマルフォイの杖つえを手から弾はじき飛ばした。杖は、壊こわれた家具や箱の山の下に転がり、見えなくなった。
「やつを殺すな やつを殺すな」
マルフォイが、ハリーに狙いをつけているクラッブとゴイルに向かって叫んだ。二人が一瞬いっしゅん躊躇ちゅうちょした隙すきを、ハリーは逃さなかった。
「エクスペリアームス 武器よ去れ」
ゴイルの杖が手から離れて飛び、脇わきのガラクタの防ぼう壁へきの中に消えた。ゴイルは取り戻そうとして、その場で虚むなしく飛び上がった。ハーマイオニーが第二弾の「失神の呪文」を放ち、マルフォイが飛び退のいた。ロンが突然通路の端はしに現れ、クラッブ目がけて「全ぜん身しん金かな縛しばり術じゅつ」を発はっ射しゃしたが、惜しくも逸れた。