ハリーは全速力で走った。死をさえ追い越すことができるのではないかと、半なかばそんな気持になりながら、周りの闇に飛び交う閃光を無視して走った。海の波のように岸を洗う湖水の音も、風もない夜なのに軋きしむ「禁じられた森」の音も無視して走った。地面さえも反乱に立ち上がったような校庭を、これまでにこんなに速く走ったことはないと思えるほど速く走った。そして、ハリーが真っ先にあの大木を目にした。根元の秘密を守って、鞭むちのように枝を振り回す「暴あばれ柳やなぎ」を。
ハリーは、あえぎながら走る速度を緩ゆるめ、暴れる柳の枝を避よけながら、古木を麻ま痺ひさせるたった一箇所の樹皮じゅひの瘤こぶを見つけようと、闇やみを透すかしてその太い幹を見た。ロンとハーマイオニーが追いついてきたが、ハーマイオニーは息が上がって、話すこともできないほどだった。
「どう――どうやって入るつもりだ」ロンが息を切らしながら言った。「その場所は――見えるけど――クルックシャンクスさえ――いてくれれば――」
「クルックシャンクス」
ハーマイオニーが体をくの字に曲げ、胸を押さえてヒーヒー声で言った。
「あなたは、それでも魔法使いなの」
「あ――そうか――うん――」
ロンは周りを見回し、下に落ちている小枝に杖つえを向けて唱となえた。
「ウィンガーディアム レビオーサ 浮遊ふゆうせよ」
小枝は地面から飛び上がり、風に巻かれたようにくるくる回ったかと思うと、暴れ柳の不気味に揺ゆれる枝の間をかいくぐって、まっすぐに幹に向かって飛んだ。小枝が根元近くの一か所を突くと、身悶みもだえしていた樹はすぐに静かになった。
「完璧かんぺきよ」ハーマイオニーが、息を切らしながら言った。
「待ってくれ」
他拼命狂奔,几乎觉得自己能把死亡甩在后面。他不去理 会周围黑暗中射过的道道亮光,不去理会像大海一样阵阵冲刷 的湖水声,也不去理会禁林里传出的吱吱嘎嘎的声响——虽然 夜里并没有风。他们奔过似乎也在奋起反抗的操场,哈利这辈 子从来没有跑得这么快过。然后,他第一个看见了那棵大树, 那棵甩打着鞭子般的枝条、保护着树根底下的秘密的打人柳。
哈利上气不接下气地慢下脚步,避开打人柳嗖嗖抽打的枝 条,在黑暗中仔细望着粗粗的树干,想看到老树皮上那个能使 大树平静下来的节疤。罗恩和赫敏也赶了上来,赫敏喘得连话 都说不出来了。
“我们——我们怎么进去呢?”罗恩喘着气说,“我能— —能看见那地方——如果我们——还带着克鲁克山——”
“克鲁克山?”赫敏气喘吁吁地说,弯腰揪着自己的胸口 ,“你到底是不是巫师呀?”
“哦——是呀——对了——”
罗恩环顾四周,然后用魔杖指着地上的一根树枝,说道: “羽加迪姆 勒维奥萨!”树枝一下子从地上飞了起来,像被 风吹着一样在空中旋转着,然后嗖地穿过打人柳的那些凶险的 枝条,直朝树干冲去。它捅了捅树根附近的一个地方,顿时, 扭曲抽打的柳树便安静下来。
“漂亮!”赫敏喘着气说。
“等等。”