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20 三体 遠征
日期:2024-06-28 13:34  点击:305
 20 三体   遠征
 凍えるような夜明けの光が照らすのは、なにもないむきだしの大地だった。ピラミッドも、国連本部ビルも、巨大な振り子モニュメントもない。あるのは地平線まで広がる真っ暗な砂漠だけ。汪淼がはじめてこの世界にログインしたときに見たのと同じ光景だった。
 だが、汪淼はまもなく、それが錯覚だと気づいた。砂漠に無数の石が並んでいると思っていたが、それは石ではなく、人間の頭だった。大地は、ぎっしり密集した群衆に埋めつくされている。
 汪淼が立つ小高い丘の下には、見渡すかぎり、人の海が広がっていた。おおよその数を見積もってみたところ、見える範囲だけでも数億人はいる。たぶん、惑星上の全三体人がここに集まっている。
 数億人が生み出す静寂には、息詰まる奇妙な切迫感があった。彼らはなにを待っているのだろう。汪淼はあたりを見まわし、全員が空を見上げていることに気づいた。
 汪淼も顔を上げて空を見た。すると、星空に驚くべき変化が起きていた。星々が碁盤の目のようにきっちりと並んでいる しかし、汪淼はほどなく理解した。方陣をなしている星々は、この惑星の上で同期軌道にあり、もっと遠くにある薄暗い天の川銀河の背景に対して、いっしょに動いている。
 方陣の星々のうち、夜明けの方角にもっとも近いものがいちばん明るく、地面に影が落ちるほど強い銀色の光を放っている。そのへりから遠ざかるにつれて明るさが減っていく。数えてみると、方陣の一辺には三十数個の天体があった。ということは、ぜんぶで千以上。天の川銀河を背景にした、明らかに人為的なこの配列のゆっくりした動きは、壮大な力を感じさせた。
 そのとき、となりに立っていた男がひじで汪淼を小突き、声をひそめて言った。「おお、偉大なるコペルニクス。どうしてこんなに遅くなった すでに三つの文明が過ぎ去ったぞ。たくさんの偉大な事業を見逃したな」
「あれはなんだい」汪淼は空の方陣を指してたずねた。
「偉大なる三体星間艦隊だよ。まもなく遠征に出発する」「つまり、三体文明はすでに星間航行能力を持っているわけか」「そうとも。あのすばらしい宇宙船は、すべて、光速の十分の一の速度を出せる」「わたしの知識の範囲では、すばらしい成功だ。でも、星間航行ということを考えると、その速度でもまだ遅すぎるような気がするが」
「千里の道も一歩から」だれかが言った。「重要なのは、正しい目標を見つけることだ」「艦隊の目的地は」
「約四光年の彼方にある星系だ──三体世界にもっとも近い恒星でもある」 汪淼は驚いた。「われわれにもっとも近い恒星も、四光年離れている」「われわれとは」
「地球だよ」
「ああ、べつだん不思議なことじゃないさ。天の川銀河の大半の宙域で、恒星の密度はかなり均等だからな。星団が引力の影響下で運動してきた結果だ。ほとんどの恒星にとって、最寄りの恒星との距離は、三光年から六光年のあいだにある」 そのとき、人の海のあいだで大きな歓声が爆発した。汪淼が顔を上げると、方陣のすべての星々が急速に輝きを増していた。宇宙船それぞれが放つ光のせいだった。それらの光が合わさって、ほどなく夜明けの光を圧倒し、一千個の星々が一千個の小さな太陽に変わった。
 三体世界はまばゆい陽光に包まれ、群衆は空に向かって両手をさしのべ、大地に果てしなく広がる手の原をかたちづくった。
 三体艦隊が加速しはじめ、さっき昇ったばかりの巨大な月の先端をかすめて、天てん穹きゅうを重々しく移動していく。月面の山脈と平原の上に、セルリアンブルーの光の輪が投影された。
 歓声が静まった。三体世界の人々は、彼らの希望を乗せた船団が西の空にしだいに小さくなっていくのを無言で見送った。彼らが生きているあいだに、遠征の結果が判明することはない。しかし、いまから四、五百年後、彼らの子孫は、三体文明の新しい生のはじまりを告げる、新世界からの知らせを受けとるだろう。
 汪淼は、彼らとともに黙って彼方を眺めた──千個の星々の方陣が小さくまとまってひとつの星になり、その星が西方の夜空の中へ消えていくまで。するとそこに、メッセージが現れた。
 三体文明の新世界遠征の旅がはじまりました。艦隊はいまも航行しています……。
 ゲーム『三体』は終了しました。現実世界に戻ったとき、かつて交わした約束にいまも忠実であるなら、地球三体
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