十一、化け地蔵
子供達の幽霊の救済者、地蔵菩薩の姿は日本の仏教で最も美しく慈悲深いもののひとつである。この仏像は、およそ全ての村と全ての道端で見られるだろう。しかし幾つかの地蔵の像は、魔物の仕業だと言われている──様々な偽装をして夜中に歩き回るようなのがこれである。この種の彫像を「化け地蔵」と呼ぶ──変化へんげを経た地蔵を意味する。昔ながらの一枚の絵は、小さな少年が、いつものお供えの餅を地蔵の石像の前へ置く様子を表現する──動く彫像がゆっくり彼に向かってかがんでいるとは、疑いもしない。
なにげなき
石の地蔵の
姿さえ、
夜よは恐ろしき
御影みかげとぞなき。
〔まるで何の問題も無いように見える石地蔵であっても、夜には恐ろしい外見が推測されると言う。(あるいは、「この像が、ありふれた石地蔵になって現れたとしても、夜には恐ろしい花崗岩かこうがんの地蔵になると言う。」)〕