港区（みなとく） （東京都港区）

　　 当初は東京港を抱える「東港区」となるはずだった　赤坂、六本木、青山などの繁華街や、東京港に面したビジネスセンターを抱える東京都港区は、一九四七（昭和二十二）年三月十五日に、旧芝区?旧麻布区?旧赤坂区の三つが合併して、現在の「港区」となった。

　その際、新しい区名を決める審議では、江戸城の南部を意味する「城南区」と「東港区」に候補が絞られた。東港区は、「今後の日本の発展は貿易の振興にあり、その素材ともいえる東京港を抱えている」ということで、候補になった区名だった。

　二つの案を検討した結果、東港区が有力となった。ところが、東京都東港区になると、似たような音が重なってしまい、どうにも発音しにくいことが問題となった。そこで、「東」の一字を抜いて「港区」とすることになったのだ。この新区名は、新しい区の誕生より少し前の二月二十六日に決定された。つまり、本当なら港区は、東港区になるはずだったというわけだ。

　ちなみに、港区になる前の旧芝区は、武蔵野の原で芝が茂っていたことから「芝区」となり、旧麻布区は、麻が生えていてその麻で布を織ったことから「麻布区」となり、旧赤坂区は、昔の一ツ木村の古名で赤土の土地だったため「赤坂区」になったなどという説があるようだ。