題しらず
20 巻まき向もくの檜原のいまだ曇らねば小松が原に淡雪ぞ降る\中納言家持
【通釈】
20 巻向の檜原はまだ曇らないのに、小松原には淡雪が降っている。○巻向の檜原 大和国の巻向の檜の生えている原。○小松が原 小松の生えている原。家持集では第四句は「小松がさきに」。▽原歌は「巻向(まきむく)の檜原もいまだ雲居ねば小松が末(うれ)ゆ沫雪流る」(万葉?巻一〇?二三一四?柿本人麻呂歌集)。新古今は家持集から取ったか。万葉集、家持集とも冬の歌。「巻向の檜原」が遠景、「小松が原」が近景。